イップスとは!?何が原因?

私たちは普段、何も考えずに身体を動かしています。それは例えば歩いたり走ったり、あるいはしゃべったり食べ物を咀嚼(そしゃく)したり、全く意識することなく出来ることがたくさんあります。

しかし時に、そういった当たり前の行動が出来なくなってしまうことがあります。それが今回ご紹介するイップスという病気です。これは例えばダーツゴルフといった再現性(同じことをいつも同じように出来る事)が求められるスポーツではよく使われる単語ですので、ご存知の方も多いかもしれません。

このイップス精神的な原因が多く、ふと、どうやって動かしていたかな?どうやってバットを振っていたかな?など小さなきっかけで発症する場合がほとんどです。それでは詳しく確認していきましょう。

イップスの原因は?

冒頭でも書いていますが、結論から言うとこの病は心理的な原因脳あるいは神経の伝達異常によって引き起こされると考えられています。

すでに引退していますが、メジャーリーグで活躍していた鈴木イチロー選手も高校の時分、イップスに悩んだ経験があるそうです。軽度なイップスであれば競技中、少しだけ動きがズレてしまう、といったぐらいですが、重症化するとボールが投げられないバットが振れない手からボールが離れない、などの症状が現れ、多くのプロ選手がイップスによって引退を余儀なくされています。

イップスの恐ろしい点は、うつ病と同じように頑張ろう、頑張ろうとするとさらに症状が重くなるところです。ふとしたきっかけで失敗してしまったイメージが頭に張り付き、今度は間違えないようにうまくやろうとすると失敗するイメージがフラッシュバックしてまた失敗。

そしてその失敗が重なる事でさらに意識してしまい、動きがぎくしゃくし、いつもと同じ行動がとれなくなってしまうのです。自分の身体だけでお金を稼いでいるプロ選手にとってはまさに死活問題というわけですね。

イップスが発症しやすい人の特徴

イップスはまじめで責任感の強い人が掛かりやすいといわれています。また競技においてプレッシャーのかかる局面にいつも立たされているピッチャー、ゴールキーパーあるいは冒頭でも触れたように再現性が求められるスポーツ選手に多く発症します。

どのような競技でも同じですが、完璧にしようと思えば思うほど、自分をがんじがらめにしてしまうことはよくあります。例えばバットやアイアンを握っている時、指をどこにおいていたか?足の小指の位置が気になる、身体が回っていない気がするなどはどなたにも経験があると思います。

またイマジネーションが豊かな方もイップスに掛かりやすいといわれています。いつでも成功するイメージを強く持ち、それを実行出来ればよいのですが、イメージ力が強い方は失敗するイメージもありありと想像できてしまうので、イップスの原因になるのでしょう。

イップスを克服するには?

これはやはり自分一人で改善しようとしないことが大切だと思います。例えば猫背巻き肩になっている方もそうですが、私たちは意外なほど自分のことがよくわかっていません。なぜなら普段、無意識に身体を動かしているからです。

ですから一人で思い悩むよりも誰かに「いつもと同じだよ」といってもらう事が自信に繋がり改善できる可能性はありますし、きっかけが些細なことなので、気軽に会話しながら練習をしていたらいつの間にか直っていた、ということもあるはずです。

しかし、そうはいっても一度気になりだすと止まらないという方もいらっしゃると思います。そんな時は何か一つの事に集中するようにすると変わるかもしれません。例えば呼吸。打ったり投げたりする前に息を吸い込む、あるいは息を吐ききってしまう。

または指の位置、ほとんど競技の練習をしたことがない人がイップスに掛かる事はありません。反対に言えばイップスに掛かるほど練習していればその動きは身体が覚えているものですから、指の位置にだけ異常に集中することで他の個所を気にしなくなることが出来ると思います。

まとめ

今回はまじめでイメージ力が優れている方に多く発症する精神と神経の病イップスについて記事を書いてまいりました。文中でも触れていますが、何事も完璧を求める些細な身体の動きや手の位置などが気になってしまうものです。

当たり前の行動であってもいつも同じようにするというのは非常に難しいことです。ですから競技のプロは一般人とは違って競技でお金を稼ぐことが出来るわけですが、イップスは口で言って直るものではありませんので、もしも症状が出てきたときは落ち着いて、いままでの練習を振り返ったり、手の動き、足の動き、など動きを細分化して考えてみるのもよいでしょう。