ストレートネックと胸郭出口症候群には因果関係があるの?

近年、スマートフォンやパソコンなどのデバイスが私たちの生活に欠かせない存在となりました。これらの機器は趣味に仕事にと大変便利ですが、便利さの一方で、画面を長時間見続けることによる身体の不調が増えてきています。

例えば、画面を凝視することで引き起こされる眼精疲労やドライアイ、あるいは前傾姿勢になってしまうことで肩こりや腰痛なども起こります。今回ご紹介するストレートネックもそういった症状の一つ、この不調は頭を支える肩などに負荷がかかるだけでなく、首周辺の神経を圧迫してしまい、症状が腕にも現れることがあります。それでは今回はこのストレートネックと胸郭出口症候群の因果関係についてみていきましょう。

ストレートネック?胸郭出口症候群?

ストレートネックとは、冒頭のようにスマホやパソコンなどの画面を凝視することで姿勢が変化し、その結果、通常であればS字のカーブを描いているはずの首の骨がまっすぐになってしまう症状です。

この状態が続くと、頭部の重さが首や肩にかかり、筋肉の緊張や圧迫が生じることで首に痛みやコリが現れたり、頭に流れる血流が悪くなり、頭痛やめまいあるいは集中力の低下や眠気を引き起こすことがありますし、単純に前傾した姿勢のまま固まってしまって、猫背を誘発してしまうこともあります。

一方、胸郭出口症候群は、神経や血管が通っている首の骨と第一肋骨の間にある胸郭出口と呼ばれる部分に問題があり、首から腕にかけての神経や血管が圧迫されることで上肢(腕や手)に痛みやしびれが現れ、時にこのしびれは指先にまで広がることがあります。

そのほかにも血管が圧迫されることで血流が滞り、手や腕が腫れたり冷たく感じたり、あるいは腕を上げる、物をつかむ、手を開くなどの動作が難しくなることで日常生活や仕事にも影響を及ぼす可能性もあります。

ストレートネックと胸郭出口症候群の関係

この二つは姿勢や筋肉の問題から起こる点が共通しているのでもちろん、ストレートネックが胸郭出口症候群の原因となることがありますし、それぞれ単体の疾患でも出てくる不調は多岐にわたります。

ストレートネックによって首の湾曲が失われ、頭部の重さが首や肩にかかるため、胸郭出口が圧迫されやすくなるのです。けれどストレートネックが長時間まえかがみになり、肩回りの筋肉を酷使することで発生するのに対して、胸郭出口症候群は肩甲骨周囲の筋肉や靭帯の異常や骨、脊椎の変形、などによっても引き起こされるので、一概には言えませんが胸郭出口症候群の方が改善が難しい疾患といえることができると思います。

この二つの疾患を予防するにはまず、日常生活での姿勢や運動習慣に気をつけることが大切です。適度な運動やストレッチ、姿勢の意識付けなどを取り入れることで、首や肩の健康を維持しストレートネックと胸郭出口症候群を予防することができます。

あるいはスマホをよくいじっている方の場合、単純にスマホの見方を変えることも効果的です。その場合、左の手のひらで右の肘をつかみ、その状態で右手にスマホをもってまっすぐな姿勢でスマホを見るようにするとストレートネックを予防することができます。

いずれにしても私たちの筋肉は同じ姿勢でずっといられないように、長時間同じことをしていると酷使されますので、その点を考慮に入れると予防がしやすくなります。

まとめ

今回は首の骨がまっすぐになってしまうストレートネックと胸郭出口症候群の因果関係について記事を書いてまいりました。文中でも触れていますが、首回りというのは脳から身体に流れる電気信号の通り道でもあり、身体から脳へ酸素を届ける通り道でもあります。

さらに言えば首は上下左右に曲げることができる非常に柔軟性の高い部位である反面その稼働を可能にするため、筋肉、腱、人体、骨が複雑に入り組まれて形成されているので、様々な不調が出やすい機関でもあります。

もちろん、すでに症状が出ていて早期に改善したい場合は専門家に相談するのが近道ですが、ご自身でケアして予防していきたいという方は下記のようなストレッチを試してみてください。

 

ストレートネックを緩和! 座ったままできる1分ストレッチ

胸鎖乳突筋ストレッチ

首が前に出た状態が長時間続くと、耳の裏から鎖骨の方に斜めについている「胸鎖乳突筋」が収縮したままになり、凝り固まってしまいます。この筋肉をほぐすと首が楽になり、小顔効果も期待できます。

①まず、首を右か左どちらか一方に向けます。

②・③首を向けた側と反対の手を胸に当てます。

④そのまま首を後ろに倒します。15秒キープ

⑤終わったら、反対側も同様に行います。

NG:上を向かないこと!

タオルを使ったストレッチ

頸椎の自然なアーチを作るストレッチです。首の牽引効果があります。

①首の後ろの出っ張った骨を探します。

②出っ張った骨から指2本分くらい上あたりにタオルの中央を当て、タオルの両端を下に引き、頭の重みでタオルを支点にして頭を後ろに倒します。30秒程度

NG:背中ごと後傾

引用:医療法人社団 厚済会

https://kousai.or.jp/straight_neck/