歩くとお尻が痛い!仙腸関節炎とは? 

慢性的に身体に不調がある場合、ある調査では肩こりと腰痛が必ずトップ3にランクインされ、この二つは日本人にとって国民病ともいえる不調として挙げられます。またこれらの不調の問題点はいつも痛みを感じることでストレスが溜まるだけでなく、多くの場合、原因がよくわからないけれど痛みを感じる。という時が往々にしてあるからです。

後述していければと思いますが、今回のテーマになっている仙腸関節炎は比較的男性よりも女性に多く見られる不調でお尻からふくらはぎあたりまでに痛みやしびれを感じる疾患です。内容もさることながら、原因が不明で痛みが発生している時は単純な運動不足や日ごろからの悪姿勢などが原因という事もよくあり、痛みの改善にはまずご自身の日常生活を見直してみることをお勧めします。それでは記事を始めてまいります。

仙腸関節炎とは?

臀部(お尻)の痛みを訴えて来院したものの、MRIやレントゲンで調べてみても異常が見つからない場合に疑われる疾患の1つが、「仙腸関節炎」です。特に女性、それも妊娠中や出産後の女性に多く、全体としては臀部や腰の痛みのうちおよそ15~30%は仙腸関節炎が原因とされています。

そもそも「仙腸関節」とは骨盤にある「腸骨」と、腰骨の尾骨のあいだにある「仙骨」という三角形の骨とが結合した部分で、関節とはいえ稼働範囲が非常に限られているのが特徴です。具体的には腸骨が地面からの突き上げる力を受け止め、仙骨が上半身の体重を受け止めるという上下からの衝撃を吸収する役割を担っており、この関節の周りを靭帯がしっかりと取り囲んで安定させています。

ところが妊娠出産によって仙腸関節の靭帯が緩んだり、ラグビーなどのコンタクトスポーツ、あるいは重いものを持ち上げる仕事などで慢性的に仙腸関節に強い負荷をかけていたり、あるいは事故などで仙腸関節に瞬間的に強い衝撃がかかったりすると、不安定になって仙腸関節が動いたときに炎症を起こして痛みがでます。これが、「仙腸関節炎」。また仙腸関節にある軟骨がすり減って起こる「変形性関節炎」が原因となっている場合もあります。

仙腸関節炎の症状

仙腸関節炎になると臀部や腰に痛みを感じますが、人によっては太ももの裏や足の先にまで痛みを感じるというケースもあります。このため坐骨神経痛と誤解されることもあるのですが、触診で仙腸関節を押すと圧痛を訴える場合には仙腸関節炎が疑われるわけです。

仙腸関節炎は前述の通り仙腸関節が動いたときに症状が現れるため、特に階段の上り下りやランニング、大股での歩行時に痛みを感じます。また長時間立ちっぱなしであったり、片足に重心をかけた立ち方をしていると痛みがでるということも。更には長時間椅子に座れない、仰向けに寝ると痛い、あるいは痛みが左右どちらか片方に出ている場合には痛みがある方を下にして寝ることができない、歩行開始時に痛みがあるもののその後長く歩いていると痛みが楽になる、といった症状が現れる場合もあります。

また仙腸関節は坐骨神経の通り道の近くに存在しているため、仙腸関節炎を起こすと坐骨神経にも影響を及ぼし、坐骨神経痛を併発することもあります。これが坐骨神経痛と誤診されやすい理由なのですが、原因を突き詰めていけば実際には仙腸関節の炎症が大元になっている、という場合が珍しくないのです。

まとめ

今回は男性よりも比較的女性によく現れ、臀部の痛みを引き起こす仙腸関節炎について記事を書いてまいりました。文中にもあるように骨盤周辺に常に負荷をかけていたり他者・物との衝突などによっておこります。

しかしながら妊娠や仕事などは痛みが出たからといってすぐに辞められるものではありませんから、日ごろからストレッチをしたり、なるべく骨盤や腰などに気を付けた姿勢を保持することを心がけるようにしましょう。あるいは単純にお腹を引っ込めることで体操になる、下記のような方法でインナーマッスルを鍛えてみるのもよいでしょう。

ドローイン

ドローインとは、腹横筋(ふくおうきん)と言われるお腹のインナーマッスルを鍛えるエクササイズです。腹横筋は仙腸関節を安定させる作用があり、仙腸関節の不安定により症状が誘発されている場合有効です。

仙腸関節障害ではあまり強くドローインはせず優しくなだらかに行い、腹横筋単独で収縮できると効果的と言われています。ガチガチにお腹を硬くするのではなく、下っ腹の奥の方の筋肉が奥から盛り上がってくる感覚で行うと良いでしょう。

(中略)

回数に制限はないので、各体操のウォーミングアップでしてみたり、まめにやってみましょう。

膝を立てて寝ます。おへそより下の位置で左右のお腹に手を置きます。

おへそより下の位置で左右のお腹に手を置きます。

息をなだらかに吐いていきます。手でお腹が凹むのを感じつつ、お腹の奥の方にある筋肉が少し硬くなるのを感じます。

息をなだらかに吐いていきます。

手でお腹が凹むのを感じつつ、お腹の奥の方にある筋肉が少し硬くなるのを感じます。

へそより下の「下っ腹」をお腹の中に引き込むようなイメージです。

引用:痛みと身体のQ&A

URL; https://okuno-y-clinic.com/itami_qa/sacroiliitis.html#07