最近、続くめまいの原因?前庭神経炎とは 

数年前から世界中を巻き込んだパンデミックが起こったり、古くはチフスやインフルエンザなどウイルスや細菌が私たちの身体に悪さをすることは度々とあるわけですが、それは何も全身に熱が出たり、咳が出たり、ということだけが起こるものではありません。

例えば黄色い膿が出たり、顔が痛くなるという症状を引き起こす蓄膿症や水ぼうそう、ヘルペスなどもそういったものが原因となります。今回はそういったウイルスや細菌などがめまいを引き起こす前庭神経炎という不調について記事を書いていこうと思います。

先に出たようにこの不調は主にめまいや吐き気などを引き起こすものですが、めまいは他人には理解されることが難しく、時には仮病などといわれてしまうこともありますが、当事者にとって目がぐるぐると常に回っている状態は大変、不快なものですので周りにいらっしゃる方にはなるべく配慮していただきたく思います。それでは記事を始めてまいります。

前庭神経炎はどこにある?

前庭神経は耳の中にある組織ですが、耳やその近くの組織には大きく分けて音を聞き取る能力と平衡感覚をつかさどる能力が備わっています。それではまずは耳の構造について確認していきましょう。

耳は大きく分けて内耳、中耳、外耳の三つからできており、いわゆる耳たぶから鼓膜までが外耳、そして中耳を挟んで三半規管や蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる音の振動を神経信号に変換して脳に送るための組織が存在し、その内耳は内リンパ液という液体で満たされており、今回のテーマになっている前庭神経もこの内耳の中に存在しています。

また今回のようにめまいが起こる原因はとしては脳幹、小脳の障害やメニエール病という疾患でいえば内リンパ液の過剰供給などがあるのですが、前庭神経炎についていえばその名の通り、前庭神経に炎症がおこることでめまいを発生させています。

しかしながら、前庭神経炎は実はまだ原因の全てが判明しているわけではなく風邪のような症状が現れてからめまいが発生することが多いので、冒頭のようにウイルスや細菌などによって炎症している、という意見もあればそういった症状がなくても突然あらわれることから前庭神経を通る血管が一時的に血行障害を起こしたために炎症を引き起こしているとも考えられています。

前庭神経炎の症状

前述の通り、前庭神経が炎症を引き起こすとそれに付随する能力に異常をきたすようになります。代表的なものでいえば先ほどから登場しているめまい。例えばその感覚はバレエのようにずっと回転した後に感じるようなぐるぐると身体が回転しているようなものです。

その他にも平衡感覚に異常があるので、体のバランスや姿勢の制御が乱れ、ずっと立っていることができないといった姿勢の不安定感、あるいはめまいが起こっているのでその影響から吐き気なども感じるようになっていきます。

また前庭神経炎を起こすと大抵の場合2~3日はこの強いめまいに悩まされ立つこともままならないのですが、脳卒中のような意識障害や構音障害(ろれつが回らなくなること)、四肢麻痺などの症状は見られませんし、メニエール病のように難聴や耳鳴り、耳の閉塞感を併発することはほとんどありません。

まとめ

今回は耳の奥にある前庭神経が炎症をおこすことでめまいを発せさせる前庭神経炎について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、めまいの症状は命に係わる重篤な疾患というわけではないものの、前庭神経炎を発症するとその後1週間は歩くこともできず、6ヵ月経っても歩くとふらつきを感じる、という人が多いようです。

また半年を過ぎても後遺症が残る方もいらっしゃいますし、めまいの症状が出た際は重篤な疾患にかかっている可能性も考えられますから、軽度だからといって放置せず、そして無理をせずになるべく早く専門家に相談するようにしましょう。

しかしそうはいってもまずは自分で対処したい。というお考えの方もいらっしゃると思いますので、めまいのリハビリに使われる方法を下記に引用して本文を終わりにしたいと思います。

 

2つの代表的なリハビリ

リハビリの代表的なものに「顔の前で親指を左右に動かして目で追う」「顔の前で固定した親指を見続けながら頭を左右に動かす」などの方法があります。

顔の前で親指を左右に動かして目で追う運動

めまいのリハビリテーション法:北里大学医学部神経耳科学

【手順】

右手を前に伸ばし、親指を立てる。

両目で、立てた親指の先を見て、手だけを左右に動かす。

頭を動かさず、目だけで指先を追いかける。

(この動作を20回程度繰り返す)

顔の前で固定した親指を見続けながら頭を左右に動かす運動

【手順】

右手を前に伸ばし、親指を立てる。

手は正面に伸ばしたまま動かさず、頭を左右に動かす。

頭を動かしている間、目線は常に親指を見続ける。

(この動作を20回程度繰り返す)

これらのリハビリは、前庭神経炎以外でも、めまいが慢性化している人や高齢でふらつきがちな人にも効果があります。転倒を防ぐために、日頃から行うとよいでしょう。

引用:NHK健康チャンネル

URL; https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_623.html