股関節の不調は全身の問題?変形性股関節症!!

病気の予防。という言葉を聞くとどうしても命に係わるような病気の予防を思い浮かべるものだと思います。それは例えばメタボリックシンドローム動脈硬化による脳卒中や心筋梗塞や日本人の三大死因にも挙げられる「がん」の予防などです。

確かにそういった重い症状を引き起こす疾患の予防は健やかな生活にはかかすことのできないものですが、自分のやりたいことを思いきり出来て、いつまでも自分の足で歩き、人生を謳歌するという意味で言えば下半身、特に膝や足、そして股関節の健康というのも忘れてはなりません。

特にこういった関節に関わる疾患というのは若い時よりも圧倒的に年齢を重ねてからの方が起こりやすく、重症化すると人工関節のお世話にならなければいけなくなったりしますので、日ごろから予防に向けた活動が出来るようにしましょう。今回はそんな関節の中でも動きの中心になる股関節に起こる疾患、変形性股関節症について記事を書いていこうと思います。

変形性股関節症、なにが起こる?

変形性股関節症は主に年齢を重ねた女性に多い疾患です。初期段階では痛みや違和感などを感じることは少なく、多くの場合、重症化して階段を上るのが辛い、しゃがむのが億劫、歩きにくい、などの症状が起きてから疾患に気づきます。

では変形性股関節症がどのように進行していくのか、確認していきましょう。最近ではすり減ってきた膝の軟骨に効果を発揮するような飲み薬なども登場していますのでご存知の方も多いと思いますが、人間の膝やヒジなどの関節には動きをスムーズにするための軟骨が存在しますが、これは年齢と共に量が減少していき、完全になくなってしまう場合もあります。

あまり動いているような印象はないでしょうが、もちろん股関節にも軟骨は存在しており、変形性膝関節症が始まると、まずは軟骨のすり減りが起こります。すると骨同士の間隔が狭まり、さらに軟骨同士が摩擦を起こしていきます。しかし、この時にはほとんど自覚症状は現れません。

そしてその状態を放置しておくと摩耗は続いてき、股関節の付け根、鼠径部(股関節周辺)、臀部(お尻)などに痛みが現れ、人によっては可動域が狭くなり、股を開く、あぐらをかく、靴を履く、階段を上がる、屈伸運動などがしずらくなっていきます。

次にさらに症状が重くなると軟骨はほとんどなくなってしまい、今度は骨同士が直接触れ合うようになります。すると起こった摩擦で骨周辺が炎症を起こして痛みが出たり、度重なる衝突によって変形が起こったりします。

すると股関節が不安定になり、歩行が困難になったり、左右のバランスが悪くなる、足を引きずる、などの症状がではじめ、最終的には骨同士がくっ付いて動かなくなってしまいます。この状態にまでなると改善には手術が必要ですので、気づいた段階で対処したいですね。

変形性股関節症が疑われたら?

前述の通り、関節の問題はご自身で改善したり、市販薬などを使ってごまかしてた挙句、骨がくっついてしまう事態にもなりかねませんので、疑わしい場合は、最初に専門家に相談するのがよいでしょう。

またその後の対応としてはなるべく股関節に負担をかけないように生活を見直したり、運動したりが望ましいのですが、以下の引用も参考にしてみてください。

関節は一生に一個しかありませんので、本症と診断されたらまず負担を減らして大事に使うということが大切になります。

初期のうちでしたら、どのような使い方をすると痛みが強くなるか良く自分自身の関節の調子を観察していただき、“日常生活”と“痛みを悪くしない使い方”をよくマッチさせることが大切です。痛み止めの薬を使うことも選択肢に入りますが、できれば調子の悪い時やどうしても負担をかけなければならない時に限定して使うほうが良いと思います。またもし過体重があるようでしたらダイエットも考えてください。心理的抵抗がなければ杖の使用もお薦めします。

一方、痛みがあるとどうしても歩かなくなり筋肉が衰えてしまいますので、できれば水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)を週2,3回行っていただくと理想的です。運動療法はその他の方法もありますが、運動療法はどうしても疼痛を誘発してしまう可能性がありますので、慎重に始めて徐々に強度を高めていくことがポイントです。

引用:日本整形外科学会

まとめ

今回は年齢を重ねた女性に多い股関節の疾患、変形性股関節症について記事を書いてまいりました。文中でも触れていますが、股関節・膝、肘、肩など関節に関わる疾患は症状が進行してしまうと痛みが出たり、骨の癒着が起こったりします。

また関節の疾患に限らず、年齢を重ねていくと運動の習慣がない方はつい、家にひきこもりがちになってしまう傾向があります。もちろん、激しい運動は他のケガを招いてしまうのでほどほどにしていただければと思いますが、時間を見つけたり、一緒に運動する友人を見つけたりして、なるべく外出する機会を増やせるように努力しましょう。