変形性膝関節症における保存療法とは

年齢を重ねていくと、真っ先に痛みや変形などが起こる組織の一つとしてが挙げられます。膝は生活するうえで、座る、歩く、走る、立つなどどのような場面でも使用されますので、組織の摩耗が激しく、ある程度の年齢になったら運動やセルフケアなどが必要になります。

今回はそんなの疾患のなかでも大変多くの方が患っている変形性膝関節症について記事を書いていきたいと思います。昨今ではテレビCMなどにもよく登場する名前なのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、改めて原因や改善方法について確認していきましょう。それでは記事を始めてまいります。

変形性膝関節症とは

私たちの体の各関節には、隣接する骨と骨が直接ぶつからないようクッションの役割を果たす「軟骨」という組織があります。軟骨は軟骨細胞やコラーゲンなどで構成される弾力性のある組織で、このため曲げ伸ばしや圧力などのストレスにも耐えることができるようになっているのですが、長期にわたって慢性的にストレスが加わると徐々に摩耗し、クッションの役割を果たせなくなってしまうことがあります。この症状が膝関節に起こっている状態が、「変形性膝関節症」です。

膝関節の軟骨がすり減ってしまうと、骨と骨との隙間が狭くなって擦れあい、膝に違和感を感じるようになります。これが進行すると骨のへりに棘のような突起物ができたり骨の形が変わったり、削れた軟骨の破片が関節を覆っている滑膜の中で浮遊し滑膜を刺激したりして、痛みを感じるようになります。また滑膜で炎症がおこるため黄色っぽい粘り気のある液体が分泌され、俗に言う「膝に水が溜まった」状態になります。これが更にひどくなると軟骨が摩耗のせいで全くなくなり、骨同士が直接ぶつかり合って安静時にも激しい痛みを感じるようになります。

変形性膝関節症の改善法

変形性関節症の改善法には、大きく分けて症状の進行を遅らせることを目的とした「保存療法」と、外科的措置によって直接関節にアプローチする「手術療法」の2種類があります。とは言えまずは保存療法から試みられるのが一般的で、特に症状が比較的軽いうちは保存療法で寛解することも多いため、いきなり手術療法から入るというケースは稀でしょう。

保存療法の基本となるのは「運動療法」で、ストレッチや筋トレによって膝周辺の筋肉を鍛え、筋肉が膝にかかる体重負担を受け止めることができるようにします。これらは痛みによって強張ってしまった膝周りの筋肉を解し関節の可動域を拡大したり、血行を促進したりするのにも効果的で、「変形性膝関節症の痛みから足を動かさず、足を動かさないから筋力が落ちて膝関節にますます負担がかかる」という悪循環を断ち切るために不可欠な改善法となっています。

また膝の痛みや炎症を抑えるため、「薬物療法」も行われます。この「薬物」とは主に鎮痛剤(内服薬)や消炎剤(外用薬)のことで、鎮痛剤はまず比較的副作用の少ない非ステロイド性抗炎症薬から入る場合が殆どです。外用薬としては湿布や軟膏、ゲルなどがあり、これらに含まれている非ステロイド系抗炎症剤が皮膚から吸収され、炎症部分で腫れや痛みを抑える効果を発揮します。

このほか患部を温める温熱療法などの「物理療法」、サポーターなどを用いた「装具療法」が併用されることもあります。

まとめ

今回は加齢や運動不足などによって膝の軟骨がすり減り、膝関節が変形してしまう変形性膝関節症について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、変形性膝関節症の予防・改善には運動が有効ですが、事実、痛みが出たり、膝が変形してしまってから運動を始めることはなかなか億劫で続けることが出来ないケースがよくあります。

例えば下記のように簡単に出来るストレッチやセルフケアなどもたくさんありますから、生活の中に運動を取り入れ、いつまでも気持ちよく歩けるように心がけましょう。

変形性ひざ関節症のセルフケア

変形性ひざ関節症におすすめの運動は、ストレッチや下半身を中心とした筋トレ、有酸素運動です。運動療法は、痛みの程度や年齢に関係なく、ひざの痛みを改善するのに有効です。

ただし、ひざが腫れて熱をもっている場合や、体調が悪い場合は運動を一時中止して様子をみてください。また、血圧が高い方や持病のある方は、担当の医師に相談した上で行いましょう。

ひざの痛みを解消するストレッチ

やり方

あおむけに寝転がり、片方のひざを曲げ、胸のほうにゆっくりと引き寄せる

左右それぞれ5回ずつ行う

ポイント

手で脚を引っぱるのではなく、脚の力だけで引き上げる。手は添えるだけ。

ひざの痛みを解消する脚上げ運動

太ももの前側にある大腿四頭筋を鍛える運動です。

大腿四頭筋を鍛えると、歩くときにひざにかかる負担が軽くなります。

やり方

あおむけに寝転がり、片方のひざを軽く曲げる

伸ばしたほうの脚をゆっくりと上げ(目安は曲げたほうのひざと同じ角度)、上げた状態で5秒間静止し、ゆっくりと下ろす

左右それぞれ20回ずつ行う

引用:NHK健康チャンネル

https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_449.html