お尻が凝るってどういうこと?梨状筋症候群とは!?

日常生活を営んでいると様々な痛みに直面することがあります。小さなところで言えば指を切ってしまったり、タンスの角に小指をぶつけたり、大きなところでは交通事故にあったり、病気が進行して痛みを発している。なども考えられます。

大きな痛みはもちろん耐え難いものですが、小さな鈍痛が長期間続いていくのも大きなストレスとなりますね。今回ご紹介する梨状筋症候群は特にデスクワークについている方や長時間同じ座り姿勢を続けなくてはならないトラックの運転手さんなどによく見られる疾患で、臀部~膝上あたりまでに痛みが起こるのが特徴です。

主な原因は臀部(お尻)の筋肉が酷使されることと、その環境が長く続くことで疲労が蓄積し、硬くなったお尻の筋肉が下半身の神経を圧迫してしまうことで起こります。それでは詳しく確認してまいりましょう。

まずは臀部(でんぶ)の構造から

梨状筋という筋肉は普段聞きなれない単語かもしれませんが、要はお尻の中にある筋肉骨盤と大腿骨(ふとももの骨)を繋いだり、下半身を使って、歩く走る座るなど行っている時に使われている筋肉です。

そして梨状筋は筋肉に覆われているのですが、臀部を構成する筋肉は大きく分けて「大臀筋」「中臀筋」「小臀筋」と呼ばれ、この三つの筋肉がいわゆる「お尻」を構成しています。

また臀部は脳から発せられる電気信号を伝える脊髄の終着点であり、その信号をさらに下半身に伝える中継地点としての役割も持っています。中継地点を過ぎた神経群は下半身まで伸びていくわけですが、梨状筋の間を通る神経が臀部の筋肉の凝りによって圧迫され下肢に痺れ痛みを引き起こすのが今回ご紹介している梨状筋症候群です。

また梨状筋症候群と同様の症状を引き起こす疾患で仙腸関節障害というものもあります。筋肉の凝りから来る梨状筋症候群とは異なり、字の通り、間接のズレなどによってやはり下肢に痛み痺れを引き起こし、こういった臀部から下肢に渡る痺れや痛みを総称して、坐骨神経痛という呼び方をします。

梨状筋症候群と似た症状の疾患

ちなみに身体の中心となる骨盤付近は少しのズレ疲労などでも大変多くの疾患を生み出します。例えばさきほどご紹介した、仙腸関節障害椎間板の破裂(椎間板ヘルニア)腰部脊柱管狭窄症腰痛や臀部の痛み、下肢の痺れなどを生み出します。

つまり単純に下肢に痺れが起こっているから、という理由から早合点してしまうのは避け、しっかりと専門家に相談してから改善に向けた取り組みを行う様にしましょう。

では、梨状筋症候群の詳しい症状ですが、先ほどから登場している下肢の痛み、痺れはもちろん、その他にも倦怠感腰痛、あるいは太ももの裏側、ふくらはぎ、膝の裏などにも痛みしびれが現れるのが特徴です。

冒頭でも触れていますが、ではなぜこのような症状が座り仕事の多い方に起こるのかというと、臀部の筋肉が凝り固まってしまうことに原因があります。お尻の筋肉が凝るという感覚は肩こりのように鈍痛を感じないので、ほとんどの人には理解が出来ないかもしれません。

酷使・疲労というと筋肉痛のような状態を想像する方が多いと思いますが、痛みが走るまでほとんど疲労を感じないという事はよくありまして、その代表例がギックリ腰です。

ギックリ腰も悪姿勢を続けたり、決まった姿勢を続ける、あるいは運動不足などによって溜まった疲労が爆発してしまうことが原因と考えられていますが、筋肉痛は筋肉を構成する筋繊維が切れてしまうことで痛みを発症するのに対して、梨状筋症候群などの場合は筋肉が疲労によって硬くなってしまうことが問題なのです。

筋肉は疲労すると硬くなる性質を持っているのでこの凝り固まった筋肉が梨状筋の間を通っている神経を圧迫するのです。例えば柔らかいスポンジでホースを包むとスポンジの方が凹みますが、硬いレンガでホースを挟むとホースの方が潰れてしまうのと同様です。

まとめ

今回は、お尻のインナーマッスルである梨状筋が神経を圧迫して発症する梨状筋症候群について記事を書いてまいりました。文中でも触れている通り、腰回りには重要な神経を始め大変多くの組織があるので少しのズレ疲労で様々な症状を引き起こすことがあります。

また注射やサポーターなどで痛みを和らげている方の場合、原因が改善されていないので故障が癖になって何度も同じところが痛んでしまう、ということもありますのでしっかりと原因を解明して改善していきましょう。

しかし、仕事柄どうしても長時間座っていないといけない、パソコンを使わないといけないという方も多いと思います。そういった時は、柔らかいクッションを使用する、一定時間座った後はストレッチを行う。など疲労が溜まらないように、または溜まってしまったらその疲労物質を流すようにしてみましょう。