腰痛に悩む産後のママさんに知ってほしい!産後腰痛の原因と解消法まとめ

2018年6月14日

妊娠前のパンツやスカートが入らない…、体型がなかなかもとに戻らない…など、産後もママさんの悩みはつきません。

その中でも『産後の腰痛』でお困りの方は多いのではないでしょうか。

腰痛に悩みながらの育児は本当につらいですよね。

育児に追われ、なかなか自分自身のケアができないと、腰痛が慢性化してしまうこともあります。

そんながんばるお母さんのために、今回は、産後の腰痛の原因や解消法を詳しくご紹介します。

「病院か接骨院・整骨院、どっちに行ったらいいの?」といった疑問にもお答えしておりますので、ぜひ参考にしてくださいね。

 

産後の腰痛5つの原因

妊娠中の腰痛が産後も続いたり、産後になって初めて腰痛が出てきたりする場合があります。

産後の腰痛の主な原因は、次の5つです。


1.靭帯のゆるみ
2.骨盤の開き
3.育児の負担やストレス
4.栄養不足
5.運動不足


【産後腰痛の原因】

1.靭帯のゆるみ

妊娠から出産にかけて、リラキシンというホルモンが分泌されます。

このホルモンの影響で、骨盤の靭帯にゆるみが生じます。

これは、出産時に赤ちゃんが産道をスムーズに通れるようにするためです。

通常、リラキシンの分泌は、産後2~3日で止まります。

しかし、リラキシンが分泌されなくなっても一度ゆるんだ靭帯はすぐには戻りません。

一般的に、もとに戻るまでにかかる期間は3か月とされていますが、出産時の年齢や普段の姿勢などによっては、半年以上かかることもあります。

靭帯がゆるむと、関節が動きやすくなり、体の支えが不安定になります。

その不安定さを支えるのが、腰の筋肉です。

そのため、腰に過剰な負担がかかり、腰痛が起こるのです。

 

【産後腰痛の原因】

2.骨盤の開き

みなさん「妊娠すると骨盤が開く」というのを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

骨盤の開きで悩んでいる女性は多いですよね。

では、なぜ妊娠すると骨盤が開くのでしょうか?

実は、私たちの骨盤には、朝に閉じ、夜に開くというリズムがあります。

つまり、妊娠しているかどうかにかかわらず、毎日開いたり閉じたりを繰り返しているのです。

しかし、妊娠中は、リラキシンの影響で、通常よりも大きく開くようになります。

骨盤が広がる場所は、骨盤全体ではなく、骨盤の下、脚の付け根あたりです。

産道付近の骨盤が開くことで、赤ちゃんが出てきやすくなります。

赤ちゃんの頭の大きさは、直径約10cm。

これは、ソフトボール(3号)と同じくらいの大きさです。

その大きさを考えると、骨盤が開くのは当然のようにも感じますよね…。

もともと骨盤が小さかったり、お母さんの骨盤に対して赤ちゃんが大きかったりすると、出産時に骨盤がゆがむことがあります。

ゆがんだ状態の骨盤は、少しずつ、時間をかけて閉じていきます。

その時、ゆがんだまま固定されてしまうと、腰痛がよりひどくなることがあります。

骨盤がゆがんでいる限り、周辺の筋肉に負担がかかり、腰痛が起こりやすくなってしまいます。

また、ゆがんだ骨盤によって、腰周辺の筋肉や靭帯が余計に引っ張られてしまうことも腰痛が起こる原因だと考えられています。

 

【産後腰痛の原因】

3.育児の負担やストレス

育児によって同じ姿勢が続くことも原因のひとつです。

抱っこをするときやおむつを替えるとき、母乳をあげるときなど、必ず前かがみの姿勢になります。

前かがみの姿勢は、腰に大きな負担をかけてしまいます。

人によっては、ぎっくり腰で急に動けなくなることもあるため、注意が必要です。

また、慣れない赤ちゃんのお世話で、精神的にもストレスを抱えると、自律神経や筋肉組織に影響が及び、腰痛がひどくなる場合があります。

その他、睡眠不足も影響しているといわれています。

産後しばらくの間、お母さんは、短時間の仮眠を繰り返すような状態となり、十分な睡眠をとることができません。

慢性的な睡眠不足では、疲労を回復させたり、傷ついた筋肉をさせたりする働きのある成長ホルモンの分泌量が減少します。

そのため、体の疲労が蓄積され、腰痛が引き起こされるのです。

 

【産後腰痛の原因】

4.栄養不足

栄養不足も産後腰痛の原因として挙げられます。

赤ちゃんを母乳で育てる場合、しっかり栄養をとっているつもりであっても必要な栄養が不足し、疲労がたまりやすく、筋肉への負担も増大します。

また、産後の体型を気にするあまり、極端な食事制限などの無理なダイエットによって、栄養不足に陥る可能性もあります。

特に、鉄分が不足すると、血行不良から、腰痛がひどくなることもあるため、意識的に対策を行わなければなりません。

バランス良く栄養をとることは、腰だけでなく、全身に大切なことです。

 

【産後腰痛の原因】

5.運動不足

産後約1か月の安静時に筋力が低下してしまうことがあります。

運動不足になると、血行が悪くなり、腰が痛みやすくなります

また、運動不足は、骨の衰えの原因とも考えられています。

そのため、骨粗しょう症による腰痛につながる可能性もあります。

 

産後腰痛の解消法①産後すぐにでも取り組める!『産褥体操』

腰痛を改善するためには、血行を良くする必要があります。

そのために、産後すぐ取り組める『産褥体操』がおすすめです。

産褥体操とは、産後6~8週までの、体が妊娠前の状態に戻る「産褥期」に行う運動です。

腰痛だけでなく、子宮収縮の促進などの効果も期待できます。

【注意!】
・食前や食後すぐの運動は避けましょう。
・発熱があるときに行ってはいけません。
・疲れがたまっているときや眠気が強いときは行わないようにしてください。
・体調が悪くなったらすぐに中断しましょう。
・無理に回数を増やしてはいけません。

産褥体操を行うと、さまざまな効果が期待できます。

ただし、無理はしないようにしてください。

特に、帝王切開などの場合、自然分娩の場合よりも体力の回復が遅くなります。

急いで産褥体操を始めるのではなく、先生や自分の体とも相談して行いましょう。

入院していた病院のパンフレットにも載っていると思いますので、そちらの方も参考にしてみてください。

(参考:かんたん産褥体操【産後1日目から1週間】―ママベビ)

 

産後腰痛の解消法②簡単ヨガで腰痛改善!『ネコのポーズ』

ヨガで有名な『ネコのポーズ』をご存知でしょうか?

実はこのポーズ、腰痛の改善に効果が期待できるのです。

1.床に垂直になるように、両腕と両膝を床について四つんばいになります。
2.両腕と両膝を肩幅程度に開いて、目線は床に向けます。
3.息を吐きながら、両腕と両膝の位置は動かさずに、天井へ突き出す感覚で背中を丸めます。
猫が「シャー」っと威嚇する時のような体勢です。
次にお腹をへこませて、頭を両腕の間に沈めたら約30秒ほど自然呼吸をしながらキープします。(図1)
4.息を吸いながら、背中を反らせて顔を上に上げ胸を張ります。
そのポーズのまま再度、約30秒ほど自然呼吸をしながらキープ。(図2)
5.3と4を5回前後繰り返し、息を吐きながらゆっくりポーズを解きます。

(引用:ネコポーズのやり方や効果効能―ヨガでダイエット)

このポーズは、腰痛の改善だけでなく、ウエスト・ヒップの引き締めや冷え性改善、集中力アップなどの効果もあります。

誰でも簡単にできますので、無理なく続けていきましょう。

 

産後腰痛の解消法③モデルおすすめ!『お尻歩き』

骨盤を整えながら、無理せずにできる運動として『お尻歩き』をご紹介します。

これは、モデルの道端カレンさんもおすすめしている方法だそうですよ。

道端カレンさんといえば、2人の子持ちとは、思えないような抜群なスタイルを維持されていますよね。

お尻歩きは、骨盤周りの筋肉を使うので、ヒップアップだけでなく、ポッコリお腹の解消にも効果的です。

1.骨盤を立たせるイメージで、背筋を伸ばして、座りましょう。
2.足を上に引き上げるイメージで右、左と交互にお尻で歩きます。
3.このとき、わき腹をしめるように行うと、ウエストにも効果的です。

【ポイント】
・背筋を伸ばして、上に伸びるイメージで行うこと。
・腕を大きく振らないようにすること。

 

産後腰痛の解消法④忙しいママの味方!『骨盤ベルト・骨盤ショーツ』

開いてしまった骨盤は、半年かけてもとに戻っていきますが、一度開いてしまった骨盤が、自然にもとの位置に戻るのは簡単なことではありません。

そこでおすすめなのが『骨盤ベルト』

骨盤ベルトは、産後すぐ使え、開いた骨盤をしめるサポートをしてくれるアイテムです。

一番の効果は、骨盤が安定し、正しい位置に戻りやすくなるということ。

忙しい産後のママさんも、骨盤ベルトがあれば、日常生活で体をケアすることができます。

骨盤ベルトの巻く際、ポイントとなる骨は、おへそからまっすぐ下に指を降ろすと当たる「恥骨」とその外側に指をたどると当たる「大転子(だいてんし)」です。

この恥骨と大転子を結ぶラインに骨盤ベルトを巻いて使用します。

きつく巻くほど効果があるように思われがちですが、きつすぎると血流が滞り、腰痛やむくみを引き起こしてしまいます。

正座をしてもつらくない程度の強さで利用しましょう。

体を動かしているとずれやすいので、家事や散歩の後には、ずれていないかを確認してくださいね。

また、骨盤ベルトの締め付けが苦手…という方には『骨盤ショーツ』がおすすめです。

着用するだけで骨盤を正しい位置に導いてくれます。

骨盤ベルトや骨盤ショーツを選ぶとき、注意してほしいポイントが3点あります。


1.サイズ
2.伸縮性
3.通気性


【注意すべきポイント】

1.サイズ

きちんと、自分に合ったサイズのものを選びましょう。

骨盤ベルトの場合、ベルト本体に伸縮性のあるものやサイズ調節ができるものであれば、体型の変化に対応できるので安心です。

また、骨盤ショーツは、普段のショーツと同じ感覚でずっと着用するものです。

そのため、しめつけがきついものを着用すると、血行が悪くなってしまいます。

骨盤矯正ショーツは小さめに作られているものが多いので、口コミを参考にすると良いでしょう。

 

【注意すべきポイント】

2.伸縮性

適度な伸縮性がないと、骨盤をしっかり保護することはできません。

伸縮性があり、骨盤をしっかりサポートしてくれるショーツを選びましょう。

 

【注意すべきポイント】

3.通気性

特に、骨盤ショーツは直接肌に身につけるものです。

産後の肌は、デリケートな状態なので、蒸れて、皮膚がかぶれてしまうことがあります。

通気性が良く、蒸れが防げそうなものを選びましょう。

 

産後腰痛の解消法⑤プロの力で骨盤を整える『骨盤矯正』

どれだけいろいろな解消法を試しても、腰痛が改善されない場合は、整骨院などで『骨盤矯正』を行うのも良いでしょう。

出産と骨盤には、密接な関係があります。

通常、骨盤は引き締まった逆三角形をしていますが、妊娠すると、骨盤の下の方が下がるため、四角形のような形になります。

産後、骨盤をもとに戻すための筋力が足りないなどの原因によって、本来の位置に戻すことができない人がほとんどです。

骨盤が開いたままでは、腰痛や肩こり、全身のむくみなど、体中に悪影響を引き起こす可能性があります。

また、骨盤が開くと、内臓が下に下がります。

そうすると、ポッコリお腹になってしまうだけでなく、太りやすい体になってしまうのです。

骨盤は、体の中心です。

そのため、骨盤を本来の位置に戻すことは、腰痛や肩こりの改善など、多くのメリットがあります。

また、血管やリンパ管を圧迫することもなくなるため、風邪をひきにくくなったり、肌の調子が整えられたり、むくみが解消されたりする効果もあります。

骨盤矯正を始めるのは、産後2か月から3か月の期間がベストです。

それ以降ですと、矯正するまでに時間がかかってしまいますので、できるだけ、早い段階で始めるのが良いでしょう。

ただし、産後1か月は、子宮内に残った胎盤や卵膜、血液などがまじりあった分泌物である悪露が出るなど、出産の影響が体に残っています。

無理に骨盤矯正を始めると、悪露が出きらないこともありますので、産後1か月は、焦らず、様子をみるようにしましょう。

 

産後腰痛に効果的!?授乳中にとるべき7つの栄養素

厚生労働省によると、授乳中は、通常よりも350kcal多く摂取することが望ましいとされています。

授乳中、特に意識してとってほしい栄養素は次の7つです。

①鉄分(授乳婦の推奨量:+2.5mg)小松菜、ほうれん草、マグロ、ひじき、レバーなどに多く含まれます。

動物性食品に含まれるヘム鉄と植物性食品に含まれる非ヘム鉄をバランス良くとりましょう。

②タンパク質(授乳婦の推奨量:+20g)

牛乳、きのこ類、肉類、魚類、豆製品に多く含まれます。

ただし、肉類は、脂質も多く含んでいるので、とりすぎには注意しましょう。

③亜鉛(授乳婦の推奨量:+3mg)

牡蠣、牛肉などに多く含まれます。

④ビタミンA(授乳婦の推奨量:+450μg)

にんじん、小松菜、レバーなどに多く含まれます。

ビタミンAには、免疫力を向上させる効果があります。

⑤ビタミンB1(授乳婦の推奨量:+0.2mg)

大豆、えんどう豆、玄米などに多く含まれます。

⑥ビタミンB2(授乳婦の推奨量:+0.6mg)

納豆、ヨーグルト、牛乳、サンマなどに多く含まれます。

⑦葉酸(授乳婦の推奨量:+50g)

アスパラガス、ブロッコリー、ほうれん草、納豆、枝豆に多く含まれます。

葉酸は、水溶性のビタミンB群に分類される栄養素です。

効率良く吸収するためには、他のビタミンB群と摂取すると良いでしょう。

(参考:授乳婦の食事摂取基準―厚生労働省)

完全にミルクで育児をしている場合は、母乳によるカロリー消費がない分、食べすぎに注意しましょう。

しかし、無理なダイエットは禁物です。

極端な食事制限を行うのではなく、軽い運動がおすすめです。

 

産後腰痛の予防は、腹筋強化体操で!

産後の腰痛が改善してきたら、今度は再び腰痛が起こらないよう、腹筋を鍛え、ゆるんだ筋肉をもとに戻してあげましょう。

1.膝をついて、四つんばいになってください。
2.右手を肩より上にして前に伸ばします。
3.左足をお尻より上にして後ろに伸ばします。
4.この姿勢を30秒キープしましょう。
5.反対の両手足も同じように行います。

 

これを両手足を1セットとして3セット行いましょう。

ただし、無理をしすぎないようにしてくださいね。

 

産後腰痛の治療は、整形外科?接骨院?

安静にしていても腰痛が起こる場合やなかなか痛みが治まらない場合、下半身の痺れや麻痺、排尿に異常があるなどの症状が伴っている場合は、専門医療機関へ行くことをおすすめします。

産後の腰痛には、病院や接骨院・整骨院で施術を受けることができます。

ご自身の症状に合わせて選びましょう。

 

整形外科

整形外科は、骨や靭帯、神経などからくる病気やケガを専門としています。

基本的には、健康保険が適用されるため、医療費の負担額が少なくなります。

整形外科では、薬物療法や手術療法、リハビリなどの保存療法を受けることができますが、腰痛の原因によって、内科や精神科、心療内科などと連携して治療を行うことがあります。

 

接骨院・整骨院

腰痛以外に気になる症状が出ていない場合は接骨院・整骨院へ行くのも良いでしょう。

接骨院・整骨院では、国家資格を持つ柔道整復師による施術を受けることができます。

整形外科と違い、薬物療法や手術療法は行われず、自然治癒力の向上を目指します。

また、整形外科と比べると、健康保険の適用範囲が狭く、急性・亜急性のケガに対してのみ保険が適用されます。

そのため、慢性的な腰痛は保険適用外となるので、注意が必要です。

 

まとめ

今回は、産後の腰痛について、原因と解消法をまとめました。

さまざまな解消法を試しても痛みが改善されない場合は、専門医にみてもらうことが大切です。

産後は、慣れない赤ちゃんのお世話に一生懸命になり、どうしても無理をしがちです。

しかし、ママが倒れてはどうしようもありません。

ぜひ、今回ご紹介した解消法を試してみてくださいね。

また、ストレスをためすぎないようにも注意しましょう。

周りの人にも代わってもらえることはお願いして、休みや睡眠をとるようにしてください。

しっかりと体を休めながら、楽しんで子育てができると良いですね。