授乳中の湿布、赤ちゃんへの影響は?使用可能な市販品と注意点

2018年6月14日

産後多くの方が抱えるトラブルのひとつに腰痛があります。

授乳やおむつ替え、抱っこなど前屈姿勢が多くなることに加え、慣れない育児での精神的なストレスも腰痛を引き起こす原因です。

しかし、育児に追われ、なかなか自分自身のケアができないと、腰痛が慢性化してしまうことも…。

腰痛に悩みながらの育児は本当につらいですよね。

 

そんなとき「本当は病院へ行きたいけど、時間もないし、赤ちゃんを連れていくのも…」と、市販の湿布や飲み薬で痛みを和らげたいと思う方も多いでしょう。

授乳中の湿布や薬、赤ちゃんにとって悪い影響はないのでしょうか?

今回は、授乳中の湿布や痛み止めの影響についてご紹介します。

 

赤ちゃんへの影響

腰痛だけでなく、肩こりや筋肉痛など、授乳中でも湿布を貼りたくなることもありますよね。

しかし、湿布の成分が母乳を通して赤ちゃんに何か悪影響を与えるのではないかと不安になる方も多いでしょう。

 

湿布薬の場合、授乳中に使用する薬の成分が母乳に移行する量はごく少量と考えられています。

そのため、授乳中であっても使用を認める医者もいるようです。

 

小児科医の渡辺眞史先生は次のように述べています。

 

点眼薬や点鼻薬、軟膏剤や湿布薬など外用に使用する薬はお母さんの身体の中に吸収される薬の量は少ないものがほとんどです。

更に母乳に移行する量も少なくなりますから、赤ちゃんに対して影響を与える心配のある薬は無いと考えて良いと思います。

 

(引用:育児相談室―たまごママネット)

 

ただし、湿布には非常に強い成分が含まれているものもあります。

そのため、妊婦さんや授乳中の方に影響が出る可能性も否定できません。

 

特に注意が必要な3つの成分

授乳中、次の3つの成分が含まれている湿布の使用は特に注意が必要です。

 

・フェルビナク

・インドメタシン

・ジクロフェナクナトリウム

 

フェルビナクは、副作用として、呼吸困難やじんましん、血管浮腫などのアナフィラキシー症状やショックを起こすことがあるため、喘息発作の恐れがある人への使用は禁忌とされています。

 

一方、インドメタシンやジクロフェナクナトリウムは、優れた消炎効果はあるものの、消化器や呼吸器、筋肉への副作用が心配されています。

日本や佐々医師会常務理事で医学博士の藤原英憲先生は次のように述べています。

 

湿布薬には、インドメタシンやジクロフェナクナトリウムといった強力な痛み止めの成分が含まれています。

強い副作用で知られるアスピリンやイブプロフェンなどの鎮痛剤と同じもの。

湿布薬を貼り付けた皮膚から血液中に取り込まれ、全身に回ります。

つまり、飲み薬を飲んだのと同じ状態になるのです。

はがき大の湿布薬を10枚貼ると、鎮痛成分の血中濃度が1日分の飲み薬と同じ程度になるというデータもあります。

当然、副作用も飲み薬と同程度に注意する必要があるのです。

 

(引用:危険な副作用がこんなに…湿布を貼ったまま寝てはいけないー日刊ゲンダイヘルスケア)

 

副作用からさまざまな情報サイトで使用を避けるように注意されているインドメタシンですが、国立成育医療研究センターによると、授乳中に安全に使用できると思われる薬に分類されています。

ただし、湿布薬によって配合量なども違うため、授乳中にこれらのが配合されている湿布薬を使用する際は必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

 

授乳中でも使える市販の湿布

妊娠・授乳中でも使用できる湿布として、久光製薬株式会社は次の5つを上げています。

 

Q.妊娠中(授乳中)に使っても大丈夫でしょうか?

 

A.「のびのび®サロンシップ®F」「のびのび®サロンシップ®S」「のびのび®サロンシップ®α無臭性」「サロンシップ®L」「サロンシップ®(巻貼タイプ)」には胎児に影響が出るような成分は入っておりません。

 

(引用:QandAのびのび®サロンシップ®―久光製薬株式会社)

 

ただし、妊娠中や産後すぐの肌はデリケートな状態になっています。

アレルギーや肌荒れ、かぶれなどが起こる場合もありますので、注意が必要です。

長時間の使用を控え、肌に異常を関した際は、早めにかかりつけ医に相談してください。

 

特に、授乳中は湿布を貼る場所に気をつけてください。

赤ちゃんが触ったり、赤ちゃんの口に当たったりしそうな胸の下などの場所は避けるようにしましょう。

 

産後の腰痛には冷湿布?温湿布?

授乳中に湿布を使う場合、冷湿布と温湿布のどちらを使うべきかという点も注意しましょう。

間違った使い方をすると、症状を悪化させる可能性もあります。

 

【冷湿布】

冷湿布は急性の痛みの場合に使います。

具体的には、ぎっくり腰や捻挫などによって、炎症を起こしていて痛みや腫れがある場合です。

 

【温湿布】

一方、慢性的な腰痛や肩こりには、温湿布を使います。

日頃から腰痛があり、湯船につかると楽になるという場合は、温湿布を使うと良いでしょう。

 

授乳中の痛み止めは細心の注意を!

妊娠中は、痛み止めの飲み薬の服用についても注意が必要です。

薬局でも購入でき、解熱鎮痛剤として有名な「ロキソニンSシリーズ」について、第一三共ヘルスケアは次のように述べています。

 

妊娠中の投与に関する安全性は確立していません。

出産予定日12週以内の妊婦は服用しないようにお願いします。

それ以外も妊娠中は医師にご相談のうえ服用ください。

同様に、授乳中の服用は避けてください。

やむを得ず服用する場合は授乳を避けてください。

 

(引用:よくあるご質問ロキソニンSシリーズ―第一三共ヘルスケア)

 

妊娠・授乳中の飲み薬については、湿布薬以上に細心の注意が必要です。

 

まとめ

いかがでしたか?

腰痛を抱えながらの育児はとても大変ですよね。

さらに無理をして、動けなくなってはいけません。

我慢せず、湿布を使うべき時には使いましょう。

しかし、市販の湿布には胎児への影響が心配されているものもあります。

決して自分自身で判断するのは避け、医師や薬剤師の指導を受けるようにしましょう。