社交不安障害の原因は?どんな人がなりやすい?

世界から見ると日本人は生真面目で失敗を恐れる文化があるように思われがちですが、私たちから見てもプレゼンや議論がうまいように思えるアメリカ人の中にも人前にでるとうまく話せなくなってしまう方というはいらっしゃいます。

あるデータではアメリカでは全人口の5~12%日本ではおよそ10%の人が発症するとも言われている不調の一つに「社会不安障害」というものがあります。この不調は先のように人前に出ると極度に緊張してしゃべれなくなる、冷や汗をかいてしまう、などの症状が起こるものなのですが、例えばいままで学校や職場などで何かを発表する際、人並み以上に緊張してしまう方はこの不調が関係しているのかもしれません。

それでは詳しく確認してまいりましょう。

社交不安障害の原因

社会不安障害とは人の注目が集まる状況で強い不安や恐怖を感じ、極度の緊張と共に動悸や大量の汗などの身体的症状も呈する障害のことです。勿論そのような状況では誰しも緊張を覚えるものですが、社交不安障害の場合その過度の心身症状からそのような場面を避けるようになり、結果として日常生活に支障を来してしまいます。

社交不安障害は単なる性格の問題と考えられてしまうことも多いのですが、実際には治療によって改善が可能な「障害」の1つです。とは言え未だはっきりとした原因は分かっておらず、の神経伝達物質の異常や遺伝、育った環境など様々な要因が絡み合って発症すると考えられています。

特に現在解明されつつあるのは恐怖症状と神経伝達物質との関係で、具体的には「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの分泌量が関係していると考えられています。というのも人は危険を察知すると、危険回避行動をとるために脳内の偏桃体神経細胞が反応して不安や恐怖を引き起こすのですが、これを抑制する働きによって不安や恐怖感を調節しているのが、セロトニンだからです。社会不安障害の場合、このセロトニンが不足するために異常な恐怖感や不安感に襲われるのではないか、と考えられているのです。

社交不安障害になりやすい人

現段階ではこの脳内伝達物質異常に加え、前述の通り遺伝や育成環境、個人の性格・気質などが重なり合って不安障害を引き起こすのではないかと言われています。例えば幼児の中には知らない人や見慣れないものを見かけたときに泣いたり逃げたりする子供がいますが、これは遺伝的なものであり、このような傾向があった幼児は将来的に社交不安障害になりやすいとされていますし、子供のころに虐待を受けた人やしつけの厳しすぎる家庭で育ち長くストレスを受け続けた人も、罹患率が高いと言われています。

また性格や気質にも関係があると考えられますが、特に社交不安障害に特異的な性格・気質というのは今のところ発見されていません。とは言え神経質な人や内向的な人、完璧主義や理想主義といった他の不安障害に共通する性格・気質の人は、やはり社交不安障害にもなりやすいと言えるでしょう。特に劣等感や他人からの評価を過度に気にすること、引っ込み思案といった回避型の性格を持つ人は、社交不安障害も重症化しやすいと考えられています。

まとめ

今回は人前に出ると極度に緊張してしまう、社交不安障害について記事を書いてまいりました。緊張という現象は人前で最高のパフォーマンスをすることに真摯に向き合うからこそ、起こってしまう矛盾で、単純に気持ちの問題だけでは解決できないこともしばしばです。

もちろん、頭ではわかっていてもなかなか緊張が止まらないというのが正直な所だとは思いますが、例えば下記のような文章をたくさん読み、自分が緊張してしまう理由を明確にすることで症状が和らぐ可能性も十分にあるのでご自身がしっくりと来る緊張の理由付けをしてみましょう。

社交不安症状の場合のポイントは以下。

人前で緊張することは自然であり正常である=緊張に対する認知を変える

(中略)

①緊張に対する認知:人前緊張で困っている患者は、緊張を悪だと考えていることが多い。緊張はあってはならないもので、撲滅するしかないと。この認知は、悪循環を形成する元となる。なぜなら、緊張は「未知のものへの自然な反応」であり、パフォーマンスを上げる作用を持った必要なものだからである。ゼロにできないものをゼロにしようという患者の努力がうまく行かないことは当然で、その結果、ますます自分の緊張への注目が強くなる。すると「コントロールできない感覚」が刺激され、単なる緊張が不安や恐怖へ発展する。人間の意識は注目したものを強く感じるようになるので、注目は不安を余計強くする。これで悪循環が成立する。心理学の実験で明らかになっていることだが、緊張がパフォーマンスを上げる人と、過剰な緊張でパフォーマンスが下がる人とで、両者の違いは何かというと、ただ一点、緊張に対する認知が違っていたのである。すなわち、緊張でパフォーマンスが上がった人は「緊張は当然のものであり、何ら異常ではないもの」と認知していた。

引用:日本橋メンタルクリニック

http://www.nihonbashi-mc.com/blog/2019/02/post-79-664726.html