筋肉痛の原因と起こるタイミングの違い

年齢を重ねると身体が衰えていくことは誰でも知っているものの、厚生労働省が2023年に行った運動に関する調査では年齢を重ねるほど運動する割合が減っているというデータが取れています。いつまでも健康にケガなく過ごすために、なるべく運動する習慣はつけておきたいものです。

また中には運動はしたいけれど筋肉痛が嫌いで、、という方もいらっしゃるかと思いますが、筋肉痛は適切に処置を行えばそれほどひどいものにはなりません。今回はそんな筋肉痛のアレコレについて記事を書いていきたいと思いますので、ぜひ、参考にしてみてください。

筋肉痛の原因

誰もが一生のうちに何度も経験する運動後の痛み、「筋肉痛」。筋肉痛には運動中に痛みを感じる「早発性筋肉痛」と運動後、数時間から数日後に遅れて痛みを感じる「遅発性筋肉痛」とがありますが、一般に「筋肉痛」と言えば後者の遅発性筋肉痛のことを指している場合が殆どでしょう。この遅発性筋肉痛の原因についてハッキリとしたことはまだ分かっていないのですが、近年の研究により筋肉痛には「筋繊維の損傷が伴うもの」と「筋繊維の損傷を伴わないもの」の2種類があるとの説が浮上してきました。

まず「筋繊維の損傷を伴う筋肉痛」とは以前から唱えられていた節で、運動や労働によって普段使っていない筋肉を無理に働かせていると、筋肉を構成する筋繊維のところどころにひびが入り筋肉痛が引き起こされる、というものです。筋肉に限らず人の体はある部分が損傷するとそれを治そうとして血管が増え炎症が起こるのですが、その際に痛み物質であるヒスタミンが分泌されるため、筋肉の周辺にある神経が刺激されて「筋肉痛」が起こるのです。

一方「筋繊維の損傷を伴わない筋肉痛」は比較的新しい説で、その名の通り筋繊維に損傷は見られないものの筋肉疲労のせいで神経過敏になり、痛みを感じるというものです。その一連の作用を簡単に説明しますと、まず運動や労働により筋肉が疲労すると、筋繊維の細胞膜から本来は発生しないはずの損傷を修復するための酵素やたんぱく質などが発生し、血管内に入ってきます。そしてこれに反応してブラジキニンという痛み物質が分泌され、これが筋繊維に作用して神経が過敏になり、些細な刺激でも痛みとして感じ取ってしまう、つまり「筋肉痛」になってしまうというわけです。

遅発性筋肉痛が起こるタイミング

前述の通り遅発性筋肉痛は大抵運動後数時間~数日経って起こりますが、この発症のタイミングに関係しているのは「どの程度筋肉に負荷をかけたか」であると考えられています。というのも筋肉に対し一度に強い負荷をかけて大きなダメージを与えるとそれを修復しようとする反応も早まりますし、逆に一度にかかる負荷が小さくゆっくりとダメージが蓄積される場合はそれに対する修復反応も遅くなるため、強度の高い運動をすれば筋肉痛は早く出て、逆に強度の低い運動であれば筋肉痛は遅く出る、というわけです。

従って筋肉痛が出るタイミングは、運動量と共に「ダメージを受けやすい筋肉かどうか」ということにも関係しています。筋肉は使えば使うほど柔軟性が出て負荷がかかっても損傷しにくくなりますから、普段筋肉を使っている人ほど筋肉痛になりにくいというのは、このためだと考えられています。

まとめ

今回は筋肉痛原因や起こるタイミングについて記事を書いてまいりました。冒頭のように筋肉痛はどなたでも経験があるものですが、意外と知らないことも多かったのではないでしょうか。身体を動かした証明でもある筋肉痛が出ることは素晴らしい事ですが、筋肉痛が残っている、あるいは動けないほどの筋肉痛が起こっている場合は無理をして運動をするとケガにつながるのでやめましょう。

理想的には身体を動かしながら筋肉痛が起こらない身体を作ったり、準備運動やクールダウンをしっかりとして疲れを明日に残さないことが大切です。例えば筋肉痛の予防に使える下記の記事なども参考にしてみてください。

 

筋肉痛のときの運動はストレッチで確認

筋肉を伸ばしてみて痛いかどうかが、ひとつの判断基準になります。痛みを感じる場合は、筋繊維がダメージを受けている状態で、無理をすると肉離れを起こす可能性があります。ストレッチをしたときに違和感があったら、無理に動かさず安静にして様子をみましょう。

筋肉痛の予防 – 有酸素運動・ストレッチによる筋肉の緊張の緩和

筋肉痛は、普段使わない筋肉を急に動かしたときに起こりやすくなります。使わない筋繊維は少しずつ細くなり、毛細血管が閉じてしまうためです。普段から全身を動かす有酸素運動を取り入れて血流をよくし、毛細血管のすみずみまで酸素や栄養を届けるよう心がけましょう。

また急に激しい運動をすると筋肉に負荷がかかって、筋肉を損傷しやすくなります。運動前は反動をつけながらからだを伸ばす「動的ストレッチ」を行い、柔軟性を高めましょう。ラジオ体操をするのもおすすめです。運動後は反動をつけずにゆっくりと伸ばす「静的ストレッチ」を行い、筋肉の緊張を緩めます。

 

https://www.healthcare.omron.co.jp/pain-with/sports-chronic-pain/relieve-muscle-pain/