脊柱が横に曲がっていく疾患!!脊柱側弯症とは!?
背骨は身体の屋台骨ともいえる大切な骨です。その役割は美しい姿勢を保つことの他に、全身に脳からの指令を伝達する神経の通り道でもあります。
しかし時として、その屋台骨が揺らぎ、背骨が前後左右に変形してしまう事があります。今回ご紹介する疾患もその一つで脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)と呼びます。
特に思春期の女の子に発症する病でその原因はよくわかってはいません、けれど昨今では治療法が徐々に確立され、早期発見ができれば大掛かりな手術をしなくても改善することができるようになりました。
今回の記事でその名前と症状を知り、早期発見と改善が出来る方が増えれば幸甚に思います。それでは記事を始めてまいります。
背骨の構造と側弯症
それではまず初めに、背骨の構造から確認していきましょう。背骨は一つの骨から出来ているのではなく、椎骨(ついこつ)と呼ばれる積み木が重なって出来ていて、それが首からお尻にかけて繋がっています。
このひと繋ぎになった骨たちを脊柱(せきちゅう)と呼びます。少し人体に興味がある方にとっては、あれ?脊椎(せきつい)じゃないの?という疑問を持つ方もいるかもしれませんが基本的には同じもの(背骨)を指しています。
あえて違いを挙げると、脊椎の方がもう少し多くの意味を含んでいて、先ほどご紹介した積み木(椎骨)の事を脊椎と呼んだりすることもあります。それから脊椎は存在する部分によって呼び名も変化して、首回りが頸椎(けいつい)、胸周りが胸椎(きょうつい)、腰回りが腰椎(ようつい)とそれぞれ呼ばれます。
そして主に脊椎の中で胸椎と頸椎が変形してしまう疾患が、今回ご紹介する脊柱側弯症です。そもそも脊椎はレントゲン写真でみると横からはS字カーブに曲がっており、前からみるときれいに一直線になっているのですが、脊柱側弯症を患うと前からみた状態で背骨がS字やくの字に曲がってしまうのです。
その湾曲具合はコブ角と呼ばれていて、コブ角が10度以上になると脊柱側弯症と診断され、最大で50度ほどまで曲がってしまうというケースもあります。
脊柱側弯症の症状
冒頭で述べた通り、脊柱側弯症は発症する原因がほとんど解明されていません。しかし圧倒的に思春期の女性に現れることが多く、その頃に分泌され始める女性ホルモンの影響で起こるという見解が圧倒的です。
またそもそも女性は男性に比べて骨が弱く、外反母趾や内股、あるいは骨粗鬆症(こつそしょうしょう)といった「骨」に関する病を発症しやすいと言われています。
さて、それでは脊柱側弯症の症状を確認していきたいと思います。まず思春期の女性に起こりやすいので、圧倒的に嫌がられる症状は姿勢の悪さが挙げられます。脊柱側弯症は前述の通り、背骨が前からみて湾曲する疾患なので不自然に胸の骨がでっぱたり、肩と腰の位置がズレたり、上半身がねじれるように回転してしまいます。
思春期の女性にとって周りと異なるという事実は耐え難く、心を痛めることと思います。さらにこの疾患でやっかいなのは重度に進行するまで痛みを伴わないということです、人間は痛みを感じなければ問題に注力できない生き物なので放置してしまうことも多いと思います。
その結果、重度の脊柱側弯症に陥ると身体が曲がることによって内臓に負荷をかけるようになります。例えば肺などの呼吸器官が圧迫され息切れを起こしやすくなったり、背骨が変形することで脊髄が圧迫され、神経麻痺が現れる場合もあります。
脊柱側弯症のチェック方法
前述の通り、脊柱側弯症は早期発見できるか否かによってその後の対処が大きく異なります。軽微な変形の内に気づくことが出来れば専用のコルセットを着用することで問題が解決する可能性もあるのです。
そのためには少しでも違和感を覚えたら以下のチェックを行い、脊柱側弯症の可能性があれば専門家に相談するようにしましょう。
そのチェック方法は簡単です。小学校や中学校の身体測定で行われる前屈測定を行ってみましょう、脚をまっすぐに伸ばして指が地面に、あるいはつま先にどれだけ触れるか、という検査です。
この前屈測定を行っている時に
- 肩の高さが左右非対称
- 肩甲骨の出っ張りが不自然
という特徴があったり、単純に直立している状態で背骨に歪みが見られる場合は脊柱側弯症がかなり進行しているといえると思います。
まとめ
今回は背骨が曲がってしまい、見た目が美しくなく、重度になれば呼吸器機能不全や麻痺などを引き起こす脊柱側弯症について記事を書いてまいりました。
文中でも触れている通り、この疾患は思春期の女性に発症することが多く、治療法も確立されていません。しかし、早期発見によって改善が見込めます。
もちろん将来、大事にならないように治療することも大切ですが、一度しかない青春時代を謳歌できないことは本人にとって最も悲しいことだと思います。周りの友人や自分の子供に、もしも先のような症状が現れた時は出来る限り専門家に相談するようにしましょう。