原因はたまった疲労?脊髄分離すべり症!!

2019年12月28日

痛みというのは私たちの身体が発するSOS信号です。この痛みがあるおかげで体調の悪さに気づいたり、ケガをしている時、むやみに身体を動かさないよう安静にしたりすることができます。

しかし、反対に痛みを感じないうちというのはなかなか真剣に改善しようという気持ちにはならず、また痛みがあっても軽度であればやはり放置してしまいがちになるもの事実です。

またしばらく市販薬などで処置をして一時、痛みが改善するとやはり専門家に相談せずにそのままいつもの生活を続けてしまったりもしますよね。今回は腰部を酷使する座りっぱなしの職業や重たい荷物を運ぶ職業、あるいはスポーツ選手などによく発症する脊柱分離すべり症について記事を書いてまいります。

脊柱分離すべり症とは?

この疾患の説明にはまず初めに背骨の構造から解説した方が理解が早いとおもいますので、まずはそちらから始めます。人体の骨格模型をご覧になったことがある方は多いと思いますが、私たちの背骨というのは当然、一本の骨から出来ているわけではありません。

一本の骨で出来ていれば身体を前後左右曲げることもできませんし、ちょっとした衝撃も吸収することができず、すぐに折れてしまいます。そのため、背骨は椎骨と呼ばれる、中心に穴が開いた積み木のような骨が重なるようにできています。

この椎骨が単体で背骨を形成していると骨同士がぶつかり合い痛くてたまりません。その為、椎骨の間には椎間板というクッションが存在しています。ちなみにこの椎間板がズレたり、つぶれたりしてしまうのが有名な椎間板ヘルニアという疾患です。

次に椎骨は間にあるクッションだけでなく、椎弓(ついきゅう)という骨でも上下でつながっているのですが、この椎弓もやはり骨だけではつながっておらず、間に椎間関節というクッションを設けています。

今回のテーマである脊柱分離すべり症はこの椎間関節と椎弓が度重なる酷使や衝撃によって外れてしまい、椎骨が前後にズレてしまう疾患です。

脊柱分離すべり症の症状

冒頭にもありますが、この脊柱分離すべり症は初期段階ではほとんど自覚症状はなく、多くの場合はすべり症になってから痛みが発生する傾向にあります。一般的な症状は腰痛を初め、腰のあたりに痛みを感じるものですが、例えば長時間同じ姿勢でいる、スポーツをしている、腰をひねる、腰をねじる、などの動きをする時に痛みが発生する場合はすべり症になっている可能性が高く、なるべく早めに専門家に相談することをおすすめします。

またすべり症は腰部が不安定になりますので、放置してしまうと他の疾患を併発してしまう可能性があります。その代表格が腰部脊柱管狭窄症です。

最近では健康やケガについての情報がたくさんありますのでご存知の方も多いかもしれませんが、先の章で椎骨の説明をする時、中心に穴が開いているという記述をしましが、この穴には脳からの電気信号を身体全体に伝える脊髄が通っています。

脊髄の説明は割愛しますが、身体を動かしたり、あるいは触られた痛い熱いなど皮膚が感じた情報を電気信号に変えて脳に伝える働きを持っている神経の束です。

椎骨がズレてしまうことで、この脊髄が圧迫されると腰部脊柱管狭窄症の症状が現れるようになります。具体的な症状を挙げればやはり腰痛、そしてお尻や脚の痛みしびれ、重症化すると歩行障害、排尿障害をもたらします。

歩行障害で有名なのは間欠跛行(かんけつはこう)という状態です、長時間歩くことが困難になり、脚が前に出ない前かがみにならないと歩けない、といった症状が出ます。

また排尿障害がもたらされる理由は脊髄の中心を走り、背骨の終点である馬尾(ばび)まで伸びて排尿を司る馬尾神経が圧迫されることによって、頻尿や突然の失禁などを引き起こします。

最後に

今回は腰部に度重なる酷使が続くことで発症する脊柱分離すべり症について記事を書いてまいりました。文中でも触れている通り、この疾患は初期段階では痛みを感じることが少なく、発見が遅くなってしまう傾向にあります。

またすべり症が腰部脊柱管狭窄症を併発すると日常生活にも影響を与えるようになり、良いことはありません。特にすべり症とは無関係でも高齢な女性骨や靭帯、筋肉の老化によって腰部脊柱管狭窄症を引き起こす確率が男性よりも高いので注意が必要です。

いつまでも健康で痛みのない生活を送るためには日ごろの節制がとても大切です。例えば日常にジョギングなどの運動を取り入れてみたり、年齢を重ねるごとにタンパク質カルシウムなどをきちんと摂取できる食生活に変えられると予防につながります。

もしも腰部に痛みや違和感を感じたり、自分に合った食生活がわからない、運動の仕方がわからないなどがあればお気軽に当院までご相談ください。