スポーツ選手の30%に症状が!?シンスプリント!
男性でも女性でも中学生や高校生になってからスポーツをしてみたい、と思って部活動を探す方は多いと思います。もちろん、そもそも運動よりも文系の部活動が好き、という方もいらっしゃいますが、昨今のスポーツブームでサッカー、バスケ、野球、卓球といったスポーツは人気があるのではないでしょうか。
今回は特にそういった足を激しく動かして練習する「成長期」のスポーツ選手に多いシンスプリントという疾患について記事を書いていこうと思います。特に小学生から中学生に上がる時、中学生から高校生に上がるタイミングで発症することが多く、その年代の子供を持つ保護者や監督者の方にはぜひ、読んでいただきたい内容となっています。それでは記事を始めてまいります。
シンスプリントってどんな疾患?
下記、ご説明してまいりますが、結論を先に述べればシンスプリントの原因は2種類考えることが出来ます。一つは成長痛と呼ばれるもの、それからもう一つはオーバーユース(使いすぎ)によって起こるものです。
シンスプリントは足に、どこかにぶつけたようなジーンとした痛みがまとわりつくのが特徴で、これを説明するには成長期の身体と筋肉の構造を説明していく方が早いと思います。
ではまず、筋肉の構造についてです。筋肉は筋繊維と呼ばれる細い繊維が集まって、これがゴムのように伸び縮みすることで私たちは歩いたり、走ったり、ジャンプしたり、モノを持ち上げるようなチカラを出すことが出来ます。
そして筋繊維はその両側が骨と繋がっているのですが、ここをつないでいるのが腱(けん)と呼ばれる組織です。さらに骨と骨の接合部分は関節と呼ばれる組織があり、靭帯という組織が骨と骨を繋げる補助の役割を果たしています。
そして腱と骨の間に負荷が掛かって離れ、炎症してしまっている状態が今回のテーマであるシンスプリントです。
この章の冒頭で述べている原因の説明はここからです。腱は通常、非常に強力な組織で中々切れたりしてしまうことはありません。万が一、切れてしまった状態を腱断裂と呼び、この完治には数週間~数か月の長期療養が必要になります。
シンスプリントってどんな疾患?その2
では先に挙げた原因はどのようにシンスプリントを生み出すかというと、例えばオーバーユースの場合ですが、私たちの身体には自己治癒能力が備わっていて多少の筋肉痛や靭帯、関節の疲労は普段通りの生活をしていても2.3日もすれば痛みがなくなっていきます。
しかし、度重なる練習や衝突が毎日繰り返されると疲労が蓄積していき、自己治癒の能力以上になってしまうと炎症を起こして痛みが発生するようになります。あるいは成長期でも同様のことが起こります。
成長期とは小学生~高校生までに起こる身体の変化ですが、あまり詳しくない方にとっては成長期には身体全体が徐々に大きくなっていくと誤解されている方が多くいらっしゃいます。
成長期にまず起こる変化は「骨」が伸びていくことです。骨が一番初めに成長して、それに引っ張られるように筋肉、腱、靭帯が伸びていくので腱や筋肉の成長が追いつく前に骨が急成長してしまうと先ほどご説明したオーバーユースと同様の状態になってしまうのです。
時にシンスプリントは成長痛である。とおっしゃる方がいらっしゃるのはこのためです。
成長期に多く発症するシンスプリント
さて、シンスプリントが成長期のスポーツ選手に起こりやすいと言われる理由はまだあります。例えば冒頭でも述べたような新一年生の場合です。当たり前の話ですが中学生、高校生は1.2.3年という階層が存在します。
この時期の1年生と3年生というのは身体の頑丈さも筋肉量も人体や腱の強さも比べ物にならず、ほとんど別物といっても過言ではありません。しかし、部活動は2.3年生が中心のメニュー作りとなっていて、1年生は黙ってついていくしかありません。
もちろん、それを1年生に合わせていたらいつまで経っても上手くなりませんので、否定は出来ませんが、その時期、1年生の身体には大きな負荷が掛かっていることだけはご理解いただきたいと思います。
改善策・まとめ
シンスプリントの症状を改善するには安静と療養が手っ取り早いわけですが、本人たちのやる気をわざわざ保護者や監督者が無くさせるのは忍びないことと思います。
しかし、オーバーユースが原因で起こるシンスプリント以外は一生続くというものではありません。まず大切なことは子供や生徒が痛みを訴えてきた場合に、適切な対処をしてあげることが大切です。
この場合の適切な対処とは専門家に相談するか、監督者と話し合い、足に負担が掛かり過ぎないメニューを探してもらうことです。特にこの時期(思春期)に、足に限らず痛みを感じると、痛みが恐怖に代わっておもいっきりプレーできなくなったり、最悪の場合は運動が嫌いになってしまう事もあります。
また、心も成長段階にあるので自分の身体はスポーツに向いていない。と決めつけて部活をやめてしまう可能性もあります。そうならない為には子供の変化や発言にいち早く気づき、子供が嫌がらない範囲でシンスプリントの改善に努めることが大切です。
しかし、もしもどう対処したらいいかわからない、足がどのような状況になっているのかわからない、そんな悩みがありましたらお気軽に当院までご相談ください。