時間差で現れる!?交通事故によるムチウチ症

2018年6月14日

 

交通事故を起こしてから数日、あるいは数週間が経過したある日、首やその周辺に激痛が走り、身体が上手く動かせないなどの悩みに見舞われた経験はありますか?

突然の首の痛みは寝違えなどかと勘違いしてしまいますが、首回りの痛みだけでなく、だるさや耳鳴り、頭痛を感じる場合、交通事故によるムチウチ症を患っている可能性があります。

交通事故という非日常に巻き込まれると、パニック・興奮状態に陥るとともに、相手の無事や、保険会社とのやり取りなども必要で、なかなか自分の受けているダメージに気づけないことは多くあります。またムチウチは自覚症状が出るまでに時間がかかる場合があるので交通事故と関係ないように思われがちです。

今回は、そんな厄介なムチウチ症の様々な症状や原因、種類について確認していきたいと思います。

 

事故が原因!?ムチウチ症とその症状とは?

交通事故によるムチウチ症とは自動車での衝突・追突事故、急停車の際に発生する衝撃によって首が大きく揺さぶられ、首の周辺の筋肉や靭帯、神経といった組織が損傷し、炎症を起こしている場合を指し、正式名称は頸椎捻挫(けいついねんざ)といいます。

ムチウチの主な症状は前述しましたように、事故後の興奮状態が解けた後にやってきます。症状は首の後ろ部分の痛み、肩が痛くてうまく首が回せない、異常な肩こり、手足の痺れ、倦怠感、めまいなどが挙げられます。

痛み以外にも様々な症状が現れる理由は、首には様々な機能を司る神経が密集しているため、頸椎(首周りの骨)がズレるなどしてこの神経が圧迫されてしまっているからです。

ちなみにムチウチの由来は、交通事故による衝撃が首に伝わる際に、首がS字にしなる様子が鞭を打つことに酷似しているため、ムチウチという俗称で呼ばれています。

 

人の頭は意外と重い!衝撃で首にダメージが!!

ムチウチとは首周りの捻挫であると確認してきましたが、今度はムチウチ症が起こる根本的な原因についても確認していきましょう。

サブタイトルにもありますが、人間の頭とは私たちが自覚している以上に重くつくられています。人の頭の重さは体重の一割と言われており、例えば体重が70キロの人は頭の重さが7キロある、という事になります。

つまり1リットルのペットボトル7本が首から上にあるということですね。非常に重たいことがイメージしていただけるとおもいます。そしてそれだけの重い物体が大きく揺れた場合、当然それを支えている首には大きな負荷がかかるというわけです。

また事故の瞬間、両手はハンドルを強く握っており、足はブレーキを深く踏みしめ、胴体はシートベルトで固定されているのですが、首は固定できず、掴まるものも無いので、衝突の影響をモロに受け、首が前後に振られてしまうわけです。

 

ムチウチはタイプごとに原因や症状が違います。

前述の通り、ムチウチというのは首周りの捻挫なのですが、その中でもいくつかのタイプに分けることが出来ます。今回は起こりやすい三つのタイプのムチウチをご紹介します。

頚椎捻転型(けいついねんてんがた)

ムチウチの中でも比較的軽度なタイプです。

厳密にいうと、ムチウチの一歩手前の状態を指しており、頸椎(首回りの骨)に一時的な伸縮や圧迫が起きることによって負荷を受けている状態です。

頸椎捻転型は自然治癒によって正常な状態へと戻る可能性が高いです。頭、肩、背中などに数日間痛みやコリが残りますが、後遺症が出る可能性は薄いと言われています。

主な症状として、首や腕の痛み、痺れ、倦怠感、後頭部の痛み、顔面痛などがあげられます。また単純に咳やクシャミによって、首を上下左右に曲げたり振ったりした時に起こる場合もあります。

バレ・リュー症状型

こちらのタイプの原因は未だはっきりと解明されていません、しかし事故によって生じる衝撃が首の骨を貫通し、神経を傷つけることによって発症すると考えられており、脳や脊髄の血流が低下し、自律神経(体を動かすとても大切な神経)のバランスが悪くなるといわれています。

主な症状としては、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、目のかすみ、流涙、動悸、発汗などが見られます。先の通り、脱臼や骨折などの外傷が見られず、神経に直接ダメージが伝わるので、自覚症状以外に診断方法が未だ無く、診断・治療が難しいものとされています。

脊髄症状型(せきずいしょうじょうがた)

ムチウチ症のなかでも重症と分類されるタイプです。首の骨折、脱臼によって、背骨に入っている脊髄やさらに内側の神経にも直接ダメージが到達するケースです。
主な症状としては、身体の麻痺、知覚異常、歩行障害、膀胱直腸障害などが起こります。このタイプは明らかな身体異常、耐えられない痛み、しびれなどたくさんの自覚症状がありますのですぐに病院や専門医を訪れる事をおすすめします。

 

まとめ

今回は交通事故による様々なムチウチの症状やタイプについて確認してきました。

原因が不明確であったり、事故後数日が経過してから痛みが出るなど、厄介なムチウチですが脊髄損傷型以外の症状でも痛みやしびれといった症状が出ると、仕事や家事に集中できなかったり慢性的な痛みに発展する場合もあります。

もしかして、、と思った場合はお近くの専門家に一度相談してみましょう。