原因はどこに!?顎関節症(がくかんせつしょう)!!
普段、何気なく生活していると物心つく頃から自然に出来ていることに注意を払うことはあまりありません。例えば息を吸ったり、歩いたり、物を持ったりといった事が出来る喜びをいつも感じているといった方は少人数でしょう。
今回のテーマになっている顎(あご)を使ってしゃべったり、物を噛んだり、あくびをしたりということもその一つです。しかし、ケガや事故、あるいは疾患によってある日突然に痛くなったり、動かしずらくなってくると、健康はなんて大切なものなのだろうと誰もが思うものです。
特に家庭内であれば事情を知っていれば対処できるものの、社会人であれば誰かと話すことは必ず必要になってくるものなので、顎関節症(がくかんせつしょう)にはなるべくならないように注意しましょう。それでは始めてまいります。
顎関節症?そもそも顎の構造とは?
それでは最初に顎の構造からみていきましょう。おそらく多くの方が人体の骨格標本や人の頭蓋骨をご覧になったことはあると思いますし、古代文明の特集などで人間の頭の骨として鼻から上の部分だけが出土するような映像をご覧になってこともあると思います。
詳しくは割愛しますが、人間の頭部は全部で15種22個の骨で形成されており、それを覆っている筋肉にもたくさんの種類があります。顎関節症は古くは噛み合わせの問題で起こるとされていましたが、昨今では様々な見解があり、完全には原因が解明されていません。これはひとえに頭部の構造が複雑であることがその原因だと思います。
では頭部の説明を続けますが、顎関節症に最も関わる頭部の骨は頭部の一番下にあって顎を形成している下顎骨(かがくこつ)です。これは鏡でも見ることが出来ますし、自分でも触れることができるので場所はお分かりいただけると思います。
次にこの下顎骨の両端には耳の手前まで骨が伸びており、この先端を「下顎頭(かがくとう)」と呼びます。そしてその下顎頭が頭蓋骨にある「下顎窩(かがくか)」というくぼみにはまることで私たちは顎を上下に動かすことが出来るのです。
しかし、硬い骨同士がくっついているとお互いに削りあったり動きが悪くなってしまうので、動きをスムーズにするために「関節円板(かんせつえんばん)」という繊維組織が間に入っています。
そしてそれらは頭の横、こめかみあたりを形成する側頭筋(そくとうきん)とほほにある咬筋(こうきん)によって覆われており、顎関節症によってあごやこめかみに痛みが生じるのはこの筋肉が影響していると考えられています。
顎関節症の症状は?
この疾患で起こる症状はいくつかあり、単純に顎が痛い、口が開かない、顎を動かすと音がする、食べ物を噛んだり、しゃべったりする時に顎が痛むという症状が一つ、または複数起こります。
それらが起こる原因は、先ほども登場した顔の周りを形成する筋肉の疲労によるもの。下顎頭と下顎窩をつなぐ関節円板が所定の位置からずれたり、つぶれてしまったりする。あるいは顎の骨そのものが変化・変形してしまっている。など様々な見解がありますが、すでに紹介している通り、結論は出ていません。
また、顎に限ったことではありませんが、神経障害や精神的なイライラやストレスから引き起こされている(心因性)のではないかと、という意見もあります。
例えば精神的に追い詰められている状態(ストレス状態)が長く続くと夜寝ている時に普段はしない歯ぎしりをしてしまったり、大きなプレゼンや試合を前にして緊張から歯を食いしばってしまうようなことはどなたにも経験があると思います。
またそういった精神状態からくる身体の変化だけに限らず、神経やストレスが原因で何もない状態から痛みが発生したり、少しの痛みを大きくしてしまうことがあるのです。それがどういうことかというと、私たちの身体に起こる痛みというのは身体から発せられるSOSではありますが、行き過ぎた痛みは感じないように本来、脳が抑制をかけているのです。
その中核を担っているのがドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンという物質なのですが、心因性の要因からこれが分泌されず、顎に限らず肩、腰が痛んだり、うつ病の症状や不眠などを発症する場合もあるのです。
まとめ
今回は顎が痛くなったり、口がスムーズに開かなくなってしまう顎関節症について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、顎関節症は噛み合わせの他にも様々な要因から発症する疾患です。
中には顎に痛みはあるけれど、まだ食事が出来るから、会話が出来るからと放置してしまう方もいらっしゃいますが、単純に顎の筋肉を酷使しただけでなく、その他の理由から発症している場合は放置しすぎると重症化してしまうことも考えられます。
また痛みが続くようであれば食事が楽しくなくなったり、人と会うことが億劫になったり、会話が楽しめなくなったりといいことはありません。顎に限らず身体に痛みや違和感があるときはお気軽にご相談ください。