偏頭痛持ちは脳梗塞になりやすい!?1日2分の「頭痛体操」で偏頭痛・脳梗塞を予防しよう!
くもりや雨の日は頭痛がひどくなる…
ズキンズキンとした痛みでぐっすり寝ることができない…
このように偏頭痛でお悩みではありませんか?
偏頭痛は、突然やってくるズキンズキンとした強い痛みを伴い、その症状は数時間から数十時間続きます。
日頃から頭痛に悩んでいる方も多く、特に30代女性の約20%が偏頭痛持ちだといわれているほどです。
偏頭痛でお悩みの皆さん、きちんと予防や対策を行っていますか?
実は、偏頭痛を放っておくと脳梗塞のリスクが高まるといわれているのです。
今回は、偏頭痛と脳梗塞の関係についてご紹介します。
3種類の頭痛
日本人の3人に1人が頭痛持ちだといわれているほど、多くの方の悩みのタネである頭痛にもさまざまな種類があります。
日本神経学会と日本頭痛学会が監修する「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」によると、頭痛は次の3種類に分けられます。
1.明確な疾患がなく、原因のはっきりしない「一次性頭痛」
2.明確な疾患が原因で突然起こる「二次性頭痛」
3.頭部神経痛、中枢性・一次性顔面痛およびその他の頭痛
【頭痛の種類】
1.一次性頭痛
一次性頭痛とは他の病気に起因しない頭痛で、頭痛に悩む人のうち約9割がこのタイプだといわれています。
一次性頭痛の代表的なものが「偏頭痛」です。
頭痛といえばこれといっても良いほど、一般的に広く知られている偏頭痛。
天気が崩れると起こる頭痛も、この偏頭痛の一種だと考えられています。
そのメカニズムはまだはっきりとは解明されていませんが、脳の血管が拡張することが原因のひとつです。
頭の片側もしくは両側がズキンズキンと脈打つように痛むというのが特徴で、中には、光や音、においに敏感になったり、肩こりや吐き気などを伴ったり、頭痛の前兆として視界がチカチカするなどの「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる症状が出ることがあります。
体を動かすと痛みがひどくなることが多く、寝込みたくても学校や仕事に行かなければならないため、市販の頭痛薬でしのぐ方が多いのが現状です。
偏頭痛が長期化すると、脳が過敏状態になり、めまいや耳鳴りなどの症状を伴うとされています。
偏頭痛は、血行を良くするとかえって痛みがひどくなってしまうため、入浴や運動は避け、できるだけ安静に過ごしましょう。
【頭痛の種類】
2.二次性頭痛
脳や体の病気が原因で頭痛が引き起こされている場合は「二次性頭痛」に分類されます。
頭痛を引き起こす代表的な病気は、くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎です。
また、頭を強くぶつけたり、目や耳、鼻などに炎症が起きていたりして痛みが出るケースもこれに当たります。
命にかかわる重大な病気が隠れている場合もありますので、少しでも違和感があれば医師に相談してください。
【頭痛の種類】
3.頭部神経痛、中枢性・一次性顔面痛およびその他の頭痛
近年、増えているのが電気が走るような瞬間的な痛みが頭部に生じる「頭部神経痛」です。
痛みと痛みの間に間欠期と呼ばれる痛みのない時期が見られるのが特徴です。
頭部神経痛の場合、前かがみの姿勢が長時間続くことが原因のひとつだと考えられています。
この姿勢は首の筋肉がこりやすく、血流が悪くなり、たまった乳酸が後頭神経を刺激することによって痛みを生じます。
この前かがみの姿勢になりがちなのが、スマホです。
近年スマホの普及が高まると同時に頭部神経痛が急増しています。
そのため、偏頭痛や緊張型頭痛に続き「第三の頭痛」ともいわれています。
(参考:慢性頭痛の診療ガイドライン2013―日本神経学会・日本頭痛学会)
頭痛薬でさらに症状が悪化する「薬物乱用性頭痛」
偏頭痛でお悩みの方の中には、痛みを抑えるために頭痛薬を飲む人も多いでしょう。
しかし、痛みに対し敏感になって頭痛薬が手放せなくなったという人もいらっしゃるのではないでしょうか?
また、痛みがひどくなる前に頭痛薬を飲む習慣が身に付き、頭痛薬に依存している場合もあります。
最近では、鎮痛薬を過剰に用いることが原因で頭痛が起きる回数が増えたり、痛みの強さが増したりといった状態に陥っている方が増えてきています。
このような頭痛を「薬物乱用性頭痛」といいます。
薬物乱用性頭痛の症状は次の通りです。
・月に15日以上頭痛がある。
・頭痛薬を月に10日以上飲んでいる。
・朝起きたときから頭痛がする。
・以前はよく効いていた頭痛薬が効かなくなってきた。
・薬をいくら飲んでも頭痛が以前よりひどくなってきた。
・頭痛の程度、痛みの性質、痛む場所が変化することがある。
・以前は月に数回、片頭痛が起こっていた。
これらの症状に心当たりのある方は、一度医師に相談することをおすすめします。
偏頭痛が脳梗塞のリスクを高める!?
病気に起因しない一次性頭痛に分類される偏頭痛は、命にかかわる頭痛ではないとされています。
しかし、最近注目されているのが「脳梗塞との関係性」です。
脳梗塞とは、脳の血管が詰まったり、脳の血の巡りが悪くなったりしたことで、脳組織が酸素欠乏や栄養不足に陥り、壊死、または壊死に近い状態になってしまったものをいいます。
日本では約150万人もの患者がおり、毎年約50万人が発症するようです。
厚生労働省の「平成26年人口動態統計の概況」によると、平成26年の死因別死亡総数のうち脳血管疾患は11万4,207人で全体の9.0%を占めています。
これは、すべての死因のうち4番目と高頻度な疾患です。
このうち、脳梗塞で亡くなった方は、6万6,058人と約5割を占めています。
脳梗塞を発症した場合、後遺症が残るため、介護が必要となる原因の第1位とされています。
また、日本の年間医療費の約1割が脳梗塞に対する治療費があるため、福祉の面でも大きな課題を持つ疾患です。
偏頭痛のメカニズムは上で説明した通りです。
痛みを感じるときは、血管が過度に拡張しています。
血管の拡張や収縮は生理的な反応なので問題はありませんが、偏頭痛の場合の過度な収縮や拡張、炎症はそれだけ血管にダメージを加えることになります。
つまり、偏頭痛持ちの人は、痛みが起きるたびに血管が損傷していくことになるのです。
傷ついた血管には、コレステロールが集まり、炎症を修復してくれます。
偏頭痛によって、この炎症が継続的に起こると、修復が繰り返されて、その部分がかさぶたのように盛り上がってきて「プラーク」という塊になります。
このプラークが大きくなると、血管内がどんどん狭くなり、血管が詰まったり、血の巡りが悪くなってしまうため、脳梗塞のリスクが高まるのです。
偏頭痛が起きる際、前兆として「閃輝暗点」といわれる視界がチカチカするなどの症状が出る方がいます。
このような前兆のあるタイプの偏頭痛は、前兆のないタイプよりもさらに脳梗塞の発症リスクが高くなるといわれています。
海外の研究では、前兆のないタイプの偏頭痛の人は7倍、閃輝暗点があるタイプの偏頭痛の人は25倍ほど脳梗塞になるリスクが高いという報告もあります。
偏頭痛が原因となった脳梗塞は、全脳梗塞の0.5~1.5%程度で頻度は多くありません。
しかし、若年性脳梗塞では13%が偏頭痛によるものであったという報告もあり、特に若い女性の脳梗塞の原因として無視できないものとなっています。
偏頭痛予防に効果的!1日2分の頭痛体操
偏頭痛が起きた際の対策として痛み止めの薬も飲む方も多いでしょう。
しかし、薬を過剰に用いることが原因で症状がよりひどくなる「薬物乱用性頭痛」が増えてきているということもお話ししました。
偏頭痛は放っておくと脳梗塞のリスクを高める…
薬の使い過ぎは症状を悪化させる恐れがある…
そこで大事なのが偏頭痛を予防するということです。
最後に、偏頭痛の予防に効果的な「頭痛体操」をご紹介します。
①正面を向き、頭を動かさないようにしましょう。
②肘を軽く曲げ、両手を胸の高さで保ちます。
③腕を水平に保ちながら、2分間左右交互に振ります。
腕と肩の力は抜き、頭を支えている筋肉をリズミカルに行いましょう。
首を動かさず、体の軸を意識するのがコツです。
いすに座ったままでも効果が期待できます。
【注意!】このようなときには、頭痛体操をしてはいけません。
・偏頭痛の発作が起きているとき
・激しい痛みがあるとき
・発熱を伴っているとき
また、この体操の最中に、痛みが激しくなった場合は、すぐに中止してください。
肩こりからくる緊張型頭痛の緩和にも効果的です。
ストレス解消にもつながるので、デスクワークの合間などちょっとした時間に試してみてくださいね。
(参考:埼玉精神神経センター埼玉国際頭痛センター長 坂井文彦先生監修『1日2分の頭痛体操』)
まとめ
いかがでしたか?
多くの人が悩む偏頭痛。
痛みがあってもなかなか他の人には理解されず、痛みを我慢したり、その場しのぎで頭痛薬に頼っていたりする方が多いのではないでしょうか?
そのまま放っておくと、脳梗塞などの重大な病気につながる可能性があるのです。
大切なのは、病院や薬に頼るのではなく、偏頭痛を起こさない習慣を身につけること。
今回ご紹介した「頭痛体操」で偏頭痛を予防していきましょう。