運動中の怪我に効くオールマイティな応急処置!RICE療法とは

病気は早期発見・早期改善が何よりであるというのはどなたもよく理解されていることかと思います。実際はそうは思っていてもなかなか専門家に足を運ぶとなると億劫になり、放置してしまうこともしばしばかと思いますが、やはりなるべく早めに対応することで傷の治りが早くなったり、現場に復帰しやすくなることは事実です。

もちろんそれは病気などに限らずケガも同じです。例えば骨折などを適当に処置してしまうとズレてくっ付き患部が変形してしまうことなどがわかりやすいかと思いますが、捻挫や打ち身、他者や物に当たって出来たケガなどもなるべく早めに適切に対処してあげるとケガを長引かせることなく改善することが出来ます。

今回はそういった対処法のなかでも目に見えてわかる捻挫や打ち身、あるいは目に見えない痛みであるアキレス腱や関節の断絶、オスグッドや鵞足炎などといったスポーツ障害にも効果が高いRICEという応急処置方をご紹介していきたいと思います。

従来、ケガが起こるとなんでも冷やした方がいいとよく言われていましたが、実は冷やすだけでなく今回ご紹介するRICEをおこなうことで先のようにケガを悪化させず、治りを早くする効果が期待できます。スポーツをする方は方法を覚えて、目の前でケガが起きた時は適切に対処できるようにしておきましょう。それでは記事を始めてまいります。

RICEの説明

打撲や捻挫、肉離れなどスポーツ中に起こりうる急性外傷は、応急処置で痛みや腫れを抑え、怪我の治りを早くすることができます。専門家に診てもらうまでにタイムラグがある場合は、是非このRICE療法を行いましょう。「RICE」とは、「REST」「ICE」「COMPRESSION」「ELEVATION」の4つの言葉の頭文字を取ったもの。どんな怪我にも有効なので、覚えておくことをお勧めします。

REST(レスト)

レストとは「安静」のこと。負傷したならすぐに運動を中止し、患部を動かさないようにすることで血液の循環を抑え、腫れや内出血、痛みを最小限に留めることができます。患部がハッキリしているならそこにタオルや添え木を当てて固定しましょう。どこで何が起こっているのか分からない場合や他にも負傷している部分がありそうな場合は、とりあえず身体を寝かせ、心臓に近い関節もシーツや大きめのタオルなどで包み込んで固定させておきます。

ICE[(アイス)

アイシングも、負傷後できるだけ早く行うべき応急処置です。患部を冷やすことでその部分の毛細血管が収縮し、腫れや内出血、痛みを抑えることができるからです。ただし凍ったものを直接皮膚に当てていると凍傷になってしまうため、氷や凍らせた保冷剤をタオルで包んでから、20分間ほど感覚がなくなるまで患部に当てて冷やしましょう。その後1度氷を外して感覚が戻ってくるのを待ち、再びアイシングします。医療機関に着くまでこれを繰り返すと良いですが、アイシング自体は帰宅後も、24~48時間断続的に行うとより効果的です。

COMPREDDION(コンプレッション)

コンプレッションとは「圧迫」のことで、「REST(安静)」と通じるものがありますが、こちらは起こってしまった炎症を抑えるというよりは未然にそれを防ぐために行います。アイシングと一緒に、テープや包帯をきつく巻いて患部を抑え、神経が圧迫されて痺れてくるまで20分ほど続けましょう。その後圧迫と冷却をやめて痺れが取れてくるのを待って、再び圧迫・冷却を行います。この圧迫も、24時間以上断続的に行うと良いでしょう。

ELEVATION(エレベーション)

エレベーションとは「挙上」で、患部を心臓より高い位置に挙げることを言います。患部を心臓より高い位置に挙げていれば、重力により血液やリンパ液が患部に集まるのを防ぐ、つまり腫れを抑えることができるというわけです。横になり、負傷した部分の下にだけ座布団やクッションなどを重ねて敷いておくと良いでしょう。

まとめ

今回はどなたにでも出来、そして効果も高い応急処置方法のRICEについて解説してまいりました。文中にもあるように基本的には安静にし、冷やして、圧迫して、心臓よりも高い位置に患部をあげておくことで腫れが収まります。患部が腫れるという事は身体が傷を治そうとして血液を集めている治癒作業ではありますが、あまりに多くの血液が集中すると反対に傷の治りが遅くなってしまいます。

では最後になぜRICEが必要なのか?という点についてですが、それには痛みについての説明が必要になります。例えばケガだけでなく肩のコリや腰痛などは組織が損傷しているわけではないのに痛みを出します。

これはよく考えると不思議な現象とも取れますが、人間の生体反応の一つにケガをしたり炎症を起こしたりするとこれ以上、身体が動かないように痛みを出して安静を保たせる発痛物質というものがあるのです。

もちろんこれによって人間は痛みを認識するわけですが、この物質はケガした箇所にRICE処置を行わずに放置しておくと患部以外のところにも波及していき、その結果、ケガとは関係ない周りの組織にも炎症を広げてしまうのです。ですから、RICE処置によって発痛物質を広げず、止血をし、安静にすることでケガの治りが早くなるというわけです。